小泉今日子はいつの時代も私たちに力をくれる 稀代のアイドルが“老い”を体現する意義

そういえば、アラフォーの域を超えてからの俳優・小泉今日子の仕事はいつも私たちをエンパワーメントしてくれた。なかでも特筆したいのが2013年度前期のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』と2017年にO.A.された『監獄のお姫さま』(TBS系)。
『あまちゃん』で小泉が演じた天野(黒川)春子はアイドルを目指し、北三陸の実家から家出同然に東京に出てきたものの、同世代のアイドル・鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の影武者として歌を吹き替えてしまったため、自分のデビューが叶わなくなり、夢をあきらめて結婚し母親になった人物。また『監獄のお姫さま』で彼女が演じた馬場カヨは、言い争いの末に夫を刺して「自立と再生の女子刑務所」に収監され、出所後に同房だった元受刑者たちと奇想天外な誘拐劇を仕掛ける元銀行員だった。
小泉今日子はこの2作で、過去の自分と折り合いがつけられず、母であることと娘であることの狭間で揺れ、時に感情のセーブがきかなくなる40代の姿や、おばさんと言われても、転びながら笑って仲間たちと目的を達成する50代の姿を見せてくれた。80年代はおろか、90年代、00年代に活躍したアイドルたちのほとんどが役の上でも綺麗でかわいくあることを自らに課し、次第にドラマや映画の現場から遠ざかっていったのと対照的である。そして私たちは役を生きる彼女の姿を見て、年を重ねることは必ずしもネガティブではないのだと肩の力を少し抜く。「大人になっておばさんになってもちゃんとできないことだってあるし、母親にぶつけたい暗い感情だってあるよね。きっと皆そうだよ、だから大丈夫」と。

2025年の小泉今日子が役を通してまろやかな“老い”を体現する『続・続・最後から二番目の恋』。年を重ねて諦めること、手放すものもあるけれど、それでも前に続く道を歩んでいく千明の姿は勇敢だ。そしてその千明の頼もしい背中に40年以上にわたって時代のトップを走り続けてきた稀代のアイドル・小泉今日子の姿を重ね、私たちは力をもらうのである。うん、ダンスに間に合わないとあきらめるのはまだ早いかもしれない。
鎌倉を舞台に、テレビ局プロデューサーの主人公と、市役所で働く公務員の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年1月に第1期の連続ドラマ、同年11月にスペシャル版、2014年に第2期が放送され、本作はその続編となる。
■放送情報
『続・続・最後から二番目の恋』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子、久保田磨希、松尾諭、佐津川愛美、白本彩奈、広山詞葉、美保純、柴田理恵、浅野和之、渡辺真起子、森口博子、石田ひかり、三浦友和ほか
脚本:岡田惠和
プロデュース:若松央樹(フジテレビ)、浅野澄美、郷田悠(FCC)
演出:楢木野礼、高橋由妃、西岡和宏(フジテレビ)
主題歌:浜崎あゆみ「mimosa」(avex trax)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ
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