『放課後カルテ』はなぜ“子どもと大人の理想の関係性”を描けたか　舞台裏にあった濃密な時間

　メイキングから伝わってくるのは、俳優たちの関係性の良さだけではない。小児科医からの所作指導を演出に生かしたり、電話のシーンでは実際に電話をかけながら芝居をしたりと、リアリティを追求しつつ、子どもたちの演じやすさも考えられたスタッフの工夫が随所に見られる。そんな現場の意識の高さが結実したシーンの一つが、第2話で冴島啓（岡本望来）がAEDを使用するシーンだ。放送当時、その完成度の高さに絶賛の声が上がった。撮影時、実際に啓は牧野と電話を繋ぎ、実際に指導を受けながらAEDを使っており、牧野と啓のやり取りの中には台本にないセリフもあったそうだ。長回しの一発撮りという大きなプレッシャーを感じながらも、岡本と松下が全身全霊で演じたからこそ、生々しい緊迫感が漂う素晴らしいシーンに仕上がった。松下は、芝居の先の役と台本を超えた景色が見られたシーンだったと振り返っている。二人の頑張りと現場のサポートがあってのことだろう。

　メイキング映像は、松下から子どもたちへのはなむけの言葉で幕を閉じる。松下からの言葉はぜひ映像で確認して欲しいが、それを受ける子どもたちの嗚咽や松下のわずかな声の揺れからは、撮影期間の3カ月がどれだけ濃密なものだったのかを感じることができる。『放課後カルテ』の記憶は、俳優、スタッフの記憶に強く残り、未来への糧になることだろう。実写ドラマの意義すら感じさせてくれた本作が、作り手たちにとっても最高の記憶になっていることに、嬉しさを覚える。

　大人が子どもと対等に接しながらも、いざという時にはサポートする。そんな理想的な関係からは、想像以上に素晴らしいものが生まれるのだ。その尊さを何度も確認するために、ぜひBlu-ray＆DVD-BOXを手にとってほしい。

■リリース情報
『放課後カルテ』
Blu-ray＆DVD BOX発売中

＜Blu-ray BOX＞
価格：29,040円（税込）
品番：VPXX-72118
仕様：6枚組（本編5枚／特典1枚）本編映像約450分＋特典映像
片面一層／COLOR／16：9／日本語リニア PCM2.0ch ステレオ／バリアフリー日本語字幕（本編のみ）

＜DVD BOX＞
価格：22,990円（税込）
品番：VPBX-14256
仕様：6枚組（本編5枚／特典1枚）本編映像約450分＋特典映像
片面一層／カラー／16：9／日本語ドルビーオーディオ2.0chステレオ／バリアフリー日本語字幕（本編のみ）

【映像特典】（Blu-ray＆DVD BOX共通）
■メイキング
■配信限定コンテンツ
ー第6.5話「ぜんぶ絶対、忘れないでいたいね」
ー第7.5話「この歌が、きっと君のもとへ」

【封入特典】（Blu-ray＆DVD BOX共通）
ブックレット

【先着購入者特典】（Blu-ray＆DVD BOX共通）
オリジナルポストカードセット

出演：松下洸平、森川葵、ホラン千秋、吉沢悠、田辺誠一
原作：日生マユ『放課後カルテ』（講談社『BE・LOVE』所載）
脚本：ひかわかよ
音楽：得田真裕
主題歌：wacci「どんな小さな」（ソニー・ミュージックレーベルズ）
演出：鈴木勇馬ほか
プロデューサー：岩崎秀紀、秋元孝之、大護彰子
協力プロデューサー：大平太
チーフプロデューサー：松本京子
制作協力：オフィスクレッシェンド
製作著作：日本テレビ
発売元・販売元：VAP
©︎日生マユ／講談社 ©日本テレビ