『九龍ジェネリックロマンス』“レモンチキン”を作ってみた 夏にぴったりな爽やかな一品

あの映画やドラマに出てくる美味しそうな料理は、どうやったら食べられるのか。スクリーンの向こうから食欲を誘う、濃厚で魅力的なパスタや、物語の中から香り立つように登場する心温まるクリーミーなスープ。ああ、どうしても食べてみたい。でもその料理たちは、画面の中の世界でしか味わえない……。
しかし、ふと思った。もし食べられないのなら、自分で作るのはどうだろう?
そんな“エンタメグルメ”に憧れるライターのすなくじらが実際に料理を作ってみる連載「絶対食べたいグルメ」。第7回は、TVアニメ『九龍ジェネリックロマンス』より令子と楊明の女子会に登場した“香港レモンチキン”でお送りする。
レモンチキンといっても、そのスタイルは実は国によってさまざま。カナダやオーストラリアでは甘く濃厚なソースをまとわせるタイプ、フランスではマスタード入りのソースで仕上げ、ローストポテトを添えるのが定番だとか。どうやら“レモンチキン”は、それぞれの土地で少しずつ表情を変えて愛されてきた料理のようだ。
今回はその中でも、広東風に近い「レモンソース」のスタイルで、『九龍ジェネリックロマンス』に登場したあの一皿を、家庭で再現してみた。
■材料(2~3人分)
・鶏もも肉 500g
・沈殿片栗粉 大さじ3+同量の水
・片栗粉 大さじ5
・サラダ油 適量★下味用
・酒 大さじ2
・塩 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・ごま油 大さじ1
・しょうゆ 大さじ2
・卵液 1/2個分★レモンソース用
・レモン 1個(小ぶりなら2個)
・水 大さじ2
・はちみつ(砂糖でも可) 大さじ2〜3
・塩 少々
・片栗粉 小さじ1+倍量の水
なお、作中に公式レシピの提示はなかったため、再現にあたっては漫画食堂のレシピ(※)を参考にしている。

鶏もも肉は、やや大きめにカット。ボウルに酒、砂糖、塩、ごま油、しょうゆを順に加える。

最後に卵液を加えてさらに馴染ませたら、冷蔵庫で30分ほど休ませる。
そのあいだに、レモンの下準備を。皮はすりおろし、果汁はしっかりと絞っておく。薄くスライスしてトッピング用に回す。

ここまでは、ソースの工程を除けば普通の唐揚げとさほど変わらない。
しかし 今回大切なのが、衣の厚みと食感。作中の感じに近づけるため、今回のレシピでは「沈殿片栗粉」を採用。片栗粉を水に溶いて15分ほど置いておくと、自然と上澄みと沈殿に分かれる。
その下にたまった、やや重たい質感の沈殿部分だけを使う。

想像ではもっと粘り気のあるものかと思っていたが、実際には意外と固く、肉にまとわりつかず浮いてしまうような状態に。このままでは使いにくいため、ごく少量の水を加えてほぐしてみると、ちょうどいいやわらかさに戻ってくれた。うまく絡まないときの調整として、覚えておくと便利かもしれない。
この沈殿片栗粉を全体にまとわせたら、さらに通常の片栗粉を2〜3回に分けて軽くまぶしていく。

揚げは二度に分けて行う。まずは160℃の油で約2分。軽く火が通ったところでいったん取り出し、少し休ませる。続いて、油の温度を180℃に上げてさらに2分ほど。ここで表面にしっかりと色をつける。

二度揚げは、中華の揚げ物によく使われるもので、最初の低温揚げで余分な水分を飛ばし、次の高温揚げで表面をパリッと仕上げる。そうすることで、素材の持ち味や食感がより際立つとされているらしい。最初の油の温度を上げすぎないことがポイント。





















