岡山天音、染谷将太、尾美としのりらが集結 『べらぼう』“チーム蔦重”が増える喜び

NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の魅力のひとつは、物語が進むごとに主人公・蔦屋重三郎(横浜流星)のもとに仲間が集まり、ひとつの「チーム」が形成されていく過程にある。
第19回「鱗の置き土産」で恋川春町(岡山天音)が蔦重のもとで書くことになり、蔦重のまわりには才能豊かな作家たちが続々と集結。それぞれの背景と想いを抱えながらも“共闘”の構図を見せ、さながら「チーム蔦重」とでも呼びたくなる、この布陣を改めて紹介したい。
恋川春町(岡山天音)

恋川春町は言わずと知れた黄表紙のヒットメーカーだ。『金々先生栄花夢』に代表されるように、人情と風刺をセンス良く操ることができる作家である。
鱗形屋(片岡愛之助)の看板作家として江戸中に名を馳せたものの、かつての栄光とは裏腹に、創作への情熱を見失いかけていた。だが蔦重はそんな彼に「100年先の江戸を描きませんか?」と真っ直ぐに語りかける。作り手としての魂に火をつける言葉は、春町にとっての“再起動”だった。
さらに面白いのは、この勧誘が「商売が盗まれた」として憎まれていた鱗形屋との“共闘”によって実現していることだ。“敵”の立場で登場した人物が仲間になるという、まさしく『少年ジャンプ』的な『べらぼう』の魅力が際立った回だった。
喜多川歌麿(染谷将太)

そして蔦重が仲間を獲得する熱い展開といえば、やはり唐丸(染谷将太)の回が圧倒的だった。第18回でついに正体が明かされた、壮絶な過去を背負った唐丸/捨吉。夜鷹の子として地獄のような幼少期を生き抜いた彼は、絵への渇望を心の奥に閉じ込めていた。
蔦重との再会、そして「歌麿」という名を授かることで、ようやく自身の才能と向き合う道が開かれる。絵師としての名前を得た瞬間、彼は過去の自分を受け入れ、未来を描く覚悟を決めたのだ。
唐丸の絵を描き分けられる筆力はすでに明らかだが、喜多川歌麿として、今後は美人画というジャンルで大人気作家として活躍する未来が待っている。
北尾重政(橋本淳)、山東京伝(古川雄大)

第3回では、蔦重が資金をかき集めて北尾重政(橋本淳)と組み、女郎たちを花に見立てて描いた『一目千本』に着手する様子が描かれた。この仕事をきっかけに、重政は蔦重の構想力と出版への執念に魅了されていく。
重政はその後も活躍を続け、蔦重とともに作品展開を続けていくが、一方で北尾政演(北尾政演)や北尾政美など、多くの弟子も育てている。
特に政演はのちの山東京伝であり、現在は無類の女好きとして蔦重に“吉原の褒美”をねだりまくる人物として描かれているが、かなりの実力者である。