『ザ・ロイヤルファミリー』“耕一”目黒蓮を救った父・耕造の言葉 世代交代の現実に直面

「それが自分の使命だと思っています」
『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)第8話では、一枚岩だったチームに不協和音が生じた。
2023年。競走馬「ロイヤルファミリー」の馬主となった耕一(目黒蓮)は、悪戦苦闘していた。競走馬のロイヤルファミリーは、勝ちきれず壁にぶつかっていた。栗須(妻夫木聡)は耕一の秘書として、競走馬の世界を案内する。北稜ファームのオークションで知り合ったのは若き馬主。椎名(沢村一樹)の息子である展之(中川大志)は、同世代の耕一を仲間に誘い入れる。
最終章に向かって走り出した第8話は、“継承”を次世代の側から描いており、実質的に第二幕のスタートだった。他の馬主と比べて、耕一には二重のハンディがあった。競馬ファンで、馬に関する知識は豊富な反面、馬主同士の付き合いには疎い。また、耕一は相続馬限定馬主であり、新しい馬を購入する資金はなかった。
ひとくちに世代交代と言っても、そこには様々な側面がある。『ザ・ロイヤルファミリー』では、相続馬主である耕一の視点から現実の課題を高い解像度で描いており、世代間対立の実状を映していた。
「継承は継がせたい側の自己満足」で「まずこっちのアイデアに耳を傾けろ」という展之の発言は、若手経営者らしい勢いのあって、「守るだけなら衰退。成長を止めちゃいけない」と強調する。そのこと自体は何の問題もないが、上の世代への反発が込められ、あえて露悪的にふるまう気配も感じられた。
展之の影響もあってか、耕一は、馬主として自分らしさを発揮しようとする。そのことが、広中(安藤政信)や隆二郎(高杉真宙)たち“ロイヤルファミリー”と軋轢を生むことになる。耕一は馬主になってからの経験の少なさと、自分がやらなければという気負いから、視野が狭くなっていて、栗須の言葉にも素直に耳を傾けられない。
栗須から見れば、未熟だからといって甘やかすわけにもいかず、手に負えないといって見放してしまえば、耕造への裏切りになる。野放図に駆けていく若馬を制御する難しさを感じていただろう。
耕一の方も、変えなければと思うほど泥沼にはまる悪循環で、チームとの関係構築で初手を誤った感は否めない。ただし、耕一を責められない部分はある。生い立ちを考えれば、独りよがりでしか生きられない環境だった。そんな耕一を救ったのは、耕造が残した言葉だった。
耕造の「迷ったら馬のことだけ、自分が信じたことだけを優先させろよ」という言葉は、展之が言うところの「好きにやりなさい。ただし、俺の理解できる範囲で」と見事なまでに反対だった。耕造は耕一を信じていた。年長者の多くが、若者世代に対して自由放任に見えて、実際はマイクロマネジメントに走るのと対照的だ。
馬のことだけを考え、2年後の有馬記念に照準を合わせ、そのために騎手の交代を申し出る。誤解を招いてしまい、勇み足の部分があっても、耕一の中では理由のある行動だ。翔平(市原匠悟)を指名したのも、未来を見据えた決断だった。
信頼によって結ばれた絆。耕一が継承した人という財産は、信頼という血が通ってこそ生きる。耕一の苦闘は、ゼロからファミリーを築くための避けられない過程だった。
使命は押しつけられるものではなく、自ら進んで背負うものだ。この道を進むと決めた者のみ肩に背負うことができる。重みを分かち合う相手は何をおいても守らなくてはならない。栗須と交わした「絶対に裏切らない」約束は、命を賭けた深い信頼の証だった。
2024年、快進撃を続けるロイヤルファミリーの前にライバルが立ちはだかる。栄冠の瞬間を目指して、耕一と栗須たちの共闘は続く。
早見和真の同名小説をドラマ化。税理士としての挫折を味わい希望を見出せなくなってしまった主人公の人生が、馬主である山王耕造との出会いにより大きく動き出していく。
■放送情報
日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、目黒蓮、松本若菜、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠、木場勝己、尾美としのり、関水渚、長内映里香、秋山寛貴(ハナコ)、三浦綺羅、小泉孝太郎、黒木瞳、沢村一樹、佐藤浩市
原作:早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)
脚本:喜安浩平
演出:塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介
主題歌:玉置浩二「ファンファーレ」
プロデュース:加藤章一
協力プロデュース:大河原美奈、小髙夏実
編成:佐藤礼子、中野翔貴
製作:TBSスパークル/TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/
公式X(旧Twitter):@royalfamily_tbs
公式Instagram:royalfamily_tbs
公式TikTok:@royalfamily_tbs
































