『あんぱん』“ばいきんまん”中尾隆聖が登場 のぶに押し寄せる“20歳の風圧”

『あんぱん』のぶに迫る“婚期”の重圧 

 「結婚十訓」は日中戦争による人口減少に危機感を強めた政府が「一家庭に子供5人」を目指して、1941年に発表した結婚の指針。特に印象的なのが第10条の「産めよ増やせよ国のため」で、「欲しがりません勝つまでは」「ぜいたくは敵だ」というスローガンとともに国民を戦争へと誘導するプロパガンダに使われた。女性の人格を完全に無視した国の政策に今を生きる人たちは驚きを禁じ得ないのではないだろうか。

 現代ならば、20歳はまだまだ遊び盛りで結婚なんて遠い話。しかし、のぶたちが生きる時代の女性たちは20歳で結婚していないと、「うかうかしてたら行き遅れる」と急かされる。のぶは仕事で成果を出し、国のために貢献しているにもかかわらず、結婚していないだけで未熟者扱いだ。

 結婚したら、今度は家庭に入り、夫を支えながら子供を産み育てることが求められる。まだまだ仕事を続けたいのぶは「今は結婚は考えられない」と主張するが、ラストで登場した婦人・節子(神野三鈴)がさらなる“20歳の風圧”を予感させた。

 一方、蘭子(河合優実)のように愛する人との結婚を待ち望んでいる女性もいる。豪(細田佳央太)が満期除隊となるまで279日。その日を指折り数えて待つ蘭子のひたむきな姿に胸を打たれる。釜次(吉田鋼太郎)もそんな孫の姿を見るのは心苦しいのだろう。「豪よ...…豪。早う、もんてこい(戻ってこい)」と絞り出すような声で放った言葉は、視聴者全員の願いだ。どうか無事に豪が戻り、蘭子と幸せな祝言を挙げられますように。

■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK

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