『あんぱん』に宿る『アンパンマン』やなせたかしの哲学 第1~7週のサブタイトルから考察

NHK連続テレビ小説『あんぱん』で、5月19日から放送される第8週のサブタイトルは「めぐりあい わかれゆく」だ。柳井嵩(北村匠海)を置いて母・登美子(松嶋菜々子)が出て行ったり、原豪(細田佳央太)が出征したり、朝田のぶ(今田美桜)と喧嘩したまま嵩が東京へ戻ってしまったり……なにかと辛い別れが描かれたこれまでの『あんぱん』。第8週の予告映像にのぶの縁談相手・若松次郎(中島歩)の姿が映し出されていることなどから、サブタイトルは新たな出会いを示唆しているのだろう。
『あんぱん』はこれまで、その週の印象的な出来事のほか、本作のモデルとなったやなせたかしの詩集や作詞を引用しサブタイトルにつけていた。
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たとえば第1週の「人間なんてさみしいね」は、やなせの詩集『人間なんてさびしいね』から取ってつけられたもの。第1週で描かれたのは、のぶの父・結太郎(加瀬亮)の急逝。そして嵩の父・清(二宮和也)も死んだと聞いたヤムおんちゃん(阿部サダヲ)が「たったひとりで生まれてきて、たったひとりで死んでいく……人間ってそういうもんだ」「人間なんて、おかしいな」と言うシーンもあった。

ネット上で話題となったのは、第3週・第4週のサブタイトル。「なんのために生まれて」「なにをして生きるのか」は、ご存じ『アンパンマン』のアニメオープニング曲「アンパンマンマンのマーチ」の歌詞からつけられたものだ。
第3週から第4週にかけては、受験を控えながらも将来何をしたらいいのか悩む嵩の葛藤が描かれ、それに対して嵩の叔父・寛(竹野内豊)が「何のために生まれて、何をしながら生きるがか。何がおまんらの幸せで、何をして喜ぶがか。これや! というもんが見つかるまで、何べんでも何べんでも必死に考え」と助言。この言葉に背中を押された嵩は、美術学校へ進むことを決める。