小関裕太、30歳の節目に見つめる俳優としての現在地 「“余白”を想像するようになった」

小関裕太、30歳の節目に見つめる現在地

 フジテレビ系木曜劇場『波うららかに、めおと日和』は、昭和11年という時代を舞台に、“交際ゼロ日婚”から始まる甘酸っぱくも歯がゆい新婚生活を描く、どこか懐かしくて新鮮な昭和新婚ラブコメディ。ヒロイン・なつ美(芳根京子)の夫・瀧昌(本田響矢)の同僚であり、帝国海軍に勤める深見龍之介を演じているのが小関裕太だ。

 2025年6月に30歳という節目を迎える小関は、今回の作品を通して何を思い、どう役と向き合ったのか。昭和初期という時代設定ならではの表現との向き合い方や、撮影現場での気づき、そして俳優としての現在地について、率直な思いを語ってくれた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「実は、僕の祖父が海軍にいたんです」

ーー昭和11年という時代を背景に描かれる作品ですが、演じるうえで特に意識された点はありますか?

小関裕太(以下、小関):自分が演じる深見という役を通して、アドリブで何か面白いことを加えたくなってしまうんです。でも、台本以上のことをやろうとすると、つい「マジかよ」といった現代的な言葉が口をついて出そうになってしまって……(笑)。なので、リハーサルの段階で一度自分を解放して、いろいろ試してみたうえで、時代にそぐわない表現は主観的にも客観的にもそぎ落としていきました。本番ではそうした言葉が出ないようにしています。でも、ふとした瞬間に出そうになる言葉に、「あ、これって今の感覚なんだな」と気づくことがあって。昭和って、平成や令和と地続きなようでいて、昭和初期と後期でも大きな違いがあるんですよね。そういうギャップを改めて面白く感じました。

ーー本作の制作チームは、衣装や舞台セットにも相当こだわっていると伺っています。実際の撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

小関:1年前に出演していた『大奥』(フジテレビ系)は江戸時代の作品でしたが、改めて思うと、昭和初期って自分にとって一番知らなかった時代かもしれないなと感じました。ドラマなどでも、あまり描かれてこなかった時代だなと。だからこそ、資料を調べていく中や、現場に立っている時も、毎回新しい発見がある。それがすごく刺激的でした。

ーー実際に軍服を着てみて、率直にどう感じましたか?

小関:実は、僕の祖父が海軍にいたんです。だから、軍服を着た自分の姿を写真で送ったら、とても喜んでくれて。 実は、祖父の若い頃の白い軍服姿の写真が実家に残っていて、昔それを見せてもらったことがあったんです。今回の衣装とまったく同じではないですが、あの写真と重なる部分もあって。家族との繋がりも感じられて、すごく感動しました。

ーー軍人という役柄を演じるにあたって、立ち振る舞いや仕草で気をつけたことがあれば教えてください。

小関:もともと漫画が原作で、それぞれのキャラクターがすごく個性的に描かれているんですよね。当時の昭和初期の海軍を忠実に再現しようとすれば、髪をしっかり結んで、表情もあまり出さずに……というような“型”があると思いますが、深見というキャラクターはそういった典型的な軍人像とは少し違うんです。だからこそ、衣装にポケットをあえて作ってもらって、そこに手を入れたりといった仕草を意識的に取り入れたりもしました。リアルな雰囲気は大切にしつつ、原作にあるキャラクター性も活かしたいと思っていて。その意味では、軍人としての「キリッ」とした感じと、漫画ならではの個性の“いいとこ取り”を意識して演じています。

ーーなるほど。とくに気をつけている所作などはありますか?

小関:やっぱり制服を着て帽子をかぶっているときの敬礼や礼の仕方は、しっかりと海軍らしく、きちんと行いたいと思っていました。でも、リラックスしているような場面では、実際の海軍でも仲間内の時間は少し肩の力が抜けていたんじゃないかと想像していて。だから、本田響矢くん演じる瀧昌との掛け合いのシーンでは、そういう“素”の部分も見えるように、あえて少し砕けた雰囲気で臨んでいます。そのギャップも深見という人物の魅力につながればいいなと。

ーー瀧昌と深見は、言葉には出さないけれど互いに信頼し合っているような、不思議な関係性が印象的です。実際に台本を読んで演じてみて、どのような魅力を感じましたか?

小関:最初に漫画を読んだときは、「この2人が交わる理由って何だろう?」ということをすごく考えたんです。でも実際にお芝居で向き合ってみると、自分なりに考えた深見像と、本田くんが持ってきた瀧昌さん像が自然にフィットして、「あ、これはやりやすいな」と感じました。お互いのキャラが真逆なのに、パズルの凸凹がぴったりハマるような感覚があって。それは本田くんのナチュラルなお芝居があったからこそだと思います。

ーー実写ドラマならではの“バディ感”があるのでしょうか?

小関:原作よりも少し距離が近くなっているかもしれません。深見の涼しい笑顔は変わらないけれど、ドラマならではの動きや、ちょっとした表情の変化で、よりいたずらっぽさや余裕が伝わるようなキャラクターになればと思って演じています。

ーー本田さんが体現する瀧昌像について詳しく教えてください。

小関:原作から受ける印象は、口数が少なくて目線もちょっと伏せがちで、どこか凛としてる。でも本田くんが演じる瀧昌さんは、それに加えて重みや真面目さが滲み出ていて、すごく説得力がありました。しかも、ただ堅いだけじゃなくて、男同士の軽妙なやりとりも自然にできる人で。突っ込んだり突っ込まれたりするような距離感が、原作以上に人間関係がなじんでいるように感じられて、「こういう関係ってリアルにいそうだな」と納得できるものになっていたと思います。

ーー本田さんとは初共演でしたが、撮影以外の時間も何か話されたりしていますか?

小関:まだ撮影が始まったばかりなので、たくさん話せているわけではないのですが、『王様のブランチ』(TBS)のレギュラーという共通点があって。本田くんは今年レギュラーなったばっかりで、僕は昨年の春に卒業したんですけど、ちょうど入れ替わりみたいな感じだったので、その話で少し盛り上がったりしました。それと、実は本作に出演している山本舞香ちゃんも『ブランチ』の元レギュラーなんです(笑)。なので、早く現場で皆さんといろいろお話したいなと思ってます。

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