インド映画に痛快な“教師もの”誕生! 『バーラ先生の特別授業』の型破りな指導は必見

本作について主演のダヌシュは、こう語っている。「説教じみた話ではなく、家族そろって鑑賞できる娯楽作品にしたかった」(※)。まさにこの言葉の通り、本作にはアクション映画としての魅力が注入されているのだ。冒頭、まだ予備校の講師をやっているバーラ先生は、教え子たちが賭けバレーをやっていることを知る。その相手だったチンピラから、教え子らが暴行を受けたことを知ると……バーラ先生は躊躇なくブチギレ。チンピラたちを一方的にボコボコにするのであった。相手が10人までなら、ひとりで圧勝できるくらいバーラ先生は強いのである。
そんなわけで、本作では要所でバーラ先生のアクションが炸裂。後半からバーラ先生を襲う危機は、どんどん理不尽さを増していく。そのあまりの理不尽さに観客の怒りが爆発するとき、つまり「殴るしかねぇ!」という気持ちになるとき、バーラ先生の鉄拳制裁が発生するのだ。難題を機転で乗り切る熱血教師ものとしての爽快さに加え、圧倒的な暴力で問題を片付けるアクション映画的な痛快さもある。ひと粒で二度おいしいとは、まさにこのことだ(もちろん歌って踊ってのダンスシーンもあります)。

本作の根底には、非常に真摯な教育についてのメッセージがある。教育とは分け与えられるべきもので、誰もが受ける権利がある。教育の質が金銭に左右されることはもちろん、少年少女らの学びたいという気持ちを食いものにすることなど、決して許されない。こうした熱いメッセージを内包しつつ、しかし説教だけの映画にならず、徹頭徹尾、エンターテインメントであることを忘れない。笑って、泣けて、熱くなれて、劇場を出たあとは「自分も何かしてみようかな」と、漠然とやる気が出てくる映画だ。異常にテンポも良いし、爽快で痛快な映画を観たい人には強くオススメしたい。バーラ先生、俺も何かしら、もっと頑張ってみようと思います。
参照
※ https://spaceboxjapan.jp/balasensei/
■公開情報
『バーラ先生の特別授業』
4月11日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
出演:ダヌシュ、サムユクタ、サムドラカニ、タニケッラ・バラニ、サーイ・クマール、ラージェーンドラン、ハリーシュ・ペーラディ、スマント、バーラティラージャー(特別出演)
監督・脚本:ヴェンキー・アトゥルーリ
製作:スーリヤデーヴァラ・ナーガほか
撮影:J・ユヴァラージ
音楽:G・V・プラカーシュ・クマール
2023年/インド/タミル語/134分/原題:Vaathi/G
配給:SPACEBOX
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公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/balasensei/






















