アカデミー作品賞は逃したものの『教皇選挙』が大健闘 小規模公開ながら初登場7位

『教皇選挙』が大健闘 初登場7位

 3月第4週の動員ランキングは、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』が週末3日間で動員28万2000人、興収3億4700万円をあげて3週連続1位。公開から17日間の累計動員は177万1300人、累計興収は21億6400万円。2位も前週と変わらず『ウィキッド ふたりの魔女』。週末3日間の動員は16万3000人、興収は2億7100万円。公開から17日間の累計動員は113万8400人、累計興収は18億1700万円。今年に入ってから公開された外国映画では初めてとなる、興収20億円突破を確実なものとしている。

 『ウィキッド ふたりの魔女』の前に興収20億円を突破したのは昨年12月に公開された『ライオン・キング:ムファサ』となるが、最終興収は22.3億円と前作から大きくダウンした成績に終わった。先週末の初登場作品で最上位につけた3位の『白雪姫』は、週末3日間で動員13万1000人、興収1億9700万円。祝日と重なった初日からの4日間の動員は21万7900人、興収は3億2600万円。昨年は『インサイド・ヘッド2』と『モアナと伝説の海2』の2作品が興収50億円突破と、外国映画興行において孤軍奮闘していたディズニー配給作品だが、ここにきて勢いが落ちてきているのは少々気になるところ。

 先週の動員ランキングで注目すべきは、7位に初登場した『教皇選挙』だ。初日からの4日間の動員は6万4800人、興収は9500万円と、今年のアカデミー賞でも話題になった作品(脚色賞を受賞)としては取り立てて目立った好成績ではないと思われるかもしれないが、非メジャー系のキノフィルムズの配給ということで、公開規模を考えると異例の健闘を見せている。劇場によっては週末だけでなく平日も満席となっていて、上映中のシネコンでは上映スクリーンのキャパ変更や上映回数の増加などの対策がおこなわれている。

 『教皇選挙』の北米での配給はフォーカス・フィーチャーズ。フォーカス・フィーチャーズはユニバーサル映画の傘下の映画会社で、ディズニーのフォックス部門におけるサーチライト作品と同じように、メジャースタジオ作品に比べて予算規模を抑えた分、監督が作家性を自由に発揮した作品の製作や配給を多く手がけている。これまでも日本での配給は作品によってまちまちだったが(日本で劇場公開されない作品も少なからずある)、今回はキノフィルムズが「当たり」を引いたということになる。

 もちろん、単純に作品運に恵まれただけでなく、観客を呼べるスターが出演しているわけではない渋いキャスティング、コンクラーベというあまり日本では馴染みのない題材、ネタバレに気を遣わなくてはいけない展開といった、決して簡単ではなかったであろう宣伝を周到に行ってきたことも大いに貢献しているのは言うまでもない。

■公開情報
『教皇選挙』
全国公開中
出演:レイフ・ファインズ、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、イザベラ・ロッセリーニ
監督:エドワード・ベルガー
脚本:ピーター・ストローハン
原作:ロバート・ハリス『CONCLAVE』
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ 
2024年/アメリカ・イギリス/英語・ラテン語・イタリア語/カラー/スコープサイズ/120分/原題:Conclave/字幕翻訳:渡邉貴子/G
©2024 Conclave Distribution, LLC.
公式サイト:https://cclv-movie.jp
公式X(旧Twitter):https://x.com/CCLV_movie

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

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