宇野維正の映画興行分析
絶好調『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』 シリーズ6年ぶりの興収50億円超えなるか?

3月第3週の動員ランキングは、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』が週末3日間の動員は46万7000人、興収は5億7600万円をあげて2週連続で1位。公開から10日間の累計動員は114万3600人、累計興収は14億700万円。2位も前週に引き続き『ウィキッド ふたりの魔女』。週末3日間の動員は23万9000人、興収は3億9700万円。公開から10日間の累計動員は76万3400人、興収は12億2200万円。
週末の興収で『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』が『ウィキッド ふたりの魔女』の145%と大差をつけているのに比べて、10日間の興収では115%と、ここまでほぼ互角の戦いをしている。これはファミリー層をターゲットとする『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』が週末興行(土日2日間だとさらにその差は大きくなる)に滅法強いことを示しているわけだが、本日(3月20日)公開されるディズニー映画『白雪姫』が「洋画」「実写」「ミュージカル」という点で『ウィキッド ふたりの魔女』と客を取り合うことが予想されるので、週末はここからさらに独走状態になっていくだろう。
ちなみに最終興収43.1億円だった昨年公開の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』の公開10日間時点での興収は12億7200万円。今年の『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』はその111%の推移。このままいくとコロナ禍前、2019年の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』以来6年ぶりの興収50億円超えも狙えるペースだ。本連載では、かねてより映画『ドラえもん』の映画興行の定点観測点としての重要性を指摘してきたが、もし歴代年間最高興収記録を更新した2019年に公開されたシリーズ作品を超えれば、いよいよ国内の映画興行は新しい黄金期に突入した証となるかもしれない。
ところで、「6年ぶりの興収50億円超えも狙えるペース」と書きながらふと思いを巡らせてしまうのは、6年前の小学1年生は現在は中学1年生だということ。つまり、6年前とはメインの客層となる子供たちも、その付き添いの親たちも、ほぼ入れ替わっているということだ。映画『ドラえもん』はそのサイクルを1980年から45年間ずっと続けてきて、今なおキープしているどころか何度目かのピークに向かって上昇傾向にあるわけだ。世界中を見渡しても、こんなモンスター級の超優良フランチャイズは他にない。
■公開情報
全国公開中
『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』
キャスト:水田わさび(ドラえもん役)、大原めぐみ(のび太役)、かかずゆみ(しずか役)、木村昴(ジャイアン役)、関智一(スネ夫役)、和多田美咲(クレア役)、種﨑敦美(マイロ役)、久野美咲(チャイ役)、鈴鹿央士(パル役)、藤本美貴(アートリア王妃役)、伊達みきお(サンドウィッチマン)(アートリア王役)、富澤たけし(サンドウィッチマン)(評論家役)
原作:藤子・F・不二雄
監督:寺本幸代
脚本:伊藤公志
主題歌:あいみょん「スケッチ」(unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN)
挿入歌:あいみょん「君の夢を聞きながら、僕は笑えるアイデアを!」(unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN)
配給:東宝
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2025
公式サイト: https://doraeiga.com/2025/
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『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/