劇場版『チェンソーマン レゼ篇』に寄せる期待と不安 上田麗奈はレゼ像をどう体現する?

『チェンソーマン レゼ篇』への期待と不安

 藤本タツキ原作による劇場版『チェンソーマン レゼ篇』(以下、『レゼ篇』)の公開日が9月19日に決定した。2024年の「ジャンプフェスタ2025」では、“台風がくる頃”という原作ファンにはたまらない粋な言葉で予告されていたが、ついにその日程が明かされた。

 ファン待望の『レゼ編』が、いよいよ映像としてスクリーンに登場する。この知らせに、SNSを中心に歓喜の声が相次いでいる。作中でもとくに高い人気を誇るエピソードだけに、劇場版への期待はいやがうえにも高まるばかりだ。本稿では、原作のラストに関わる重大なネタバレは避けるが、映画の展開に触れるうえで必要な原作情報には一部言及するため、内容を完全に知らずに楽しみたい方はご注意いただきたい。

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』特報映像(30秒)【9月19日(金)公開】

 特報映像には、物語の鍵を握るレゼと、デンジが一途に慕うマキマの2人の間で揺れ動くデンジの姿が映し出されている。『レゼ篇』の面白さは、まさにこのデンジの揺れる心にある。マキマに夢中なデンジの前に、レゼという新たな存在が現れたことで、彼の日常は一変。レゼに振り回されながらも、彼女との関係を通して見えてくる、デンジの素直さや不器用な優しさも、『レゼ篇』ならではの魅力と言えるだろう。

 そんな2人の関係は、ある日の偶然の出会いから始まる。何気ない日常に現れた少女・レゼに、デンジはたちまち心を奪われる。しかし彼女の正体は、実はデンジを狙う工作員だった。レゼもまた、デンジのように悪魔と融合した存在で、首の金具を手榴弾のように引くと爆弾の悪魔「ボム」に変身するのだ。もちろん、そんな事実を知るはずもないデンジは、「デンジ君みたいな面白い人はじめて」という彼女の言葉に、「確定で俺のコト好きじゃん」と無邪気に喜ぶ。デンジとレゼの距離はさまざまな出来事を経て徐々に縮まっていくが、穏やかな日々はそう長くは続かない。

(左から)レゼ、ボム『チェンソーマン レゼ篇』キャラクタービジュアル ©藤本タツキ/集英社・MAPPA

 映画で特に注目したいのは、レゼ役・上田麗奈の演技だ。アニメ『チェンソーマン』第12話のエンディングの後、「デンジ君はさ、田舎のネズミと都会のネズミ、どっちがいい?」と問いかける声で、すでにレゼ役が上田であると察したファンも多かった。今回の特報映像では、夜のプールでの名シーン「私が全部教えてあげる」というセリフも披露されており、彼女が演じる“危うさ”をまとったレゼ像が、早くも映像からにじみ出ている。激しいアクションだけでなく、感情がぶつかり合う繊細な会話劇が多い『レゼ篇』において、日常の中で交わされるデンジとの掛け合いにもぜひ注目したい。

 もちろん、『チェンソーマン』といえば迫力の戦闘シーンも欠かせない。ボムはその名の通り、爆発を自在に操る能力の持ち主。自らの手足を爆破して攻撃したり、肉体の一部を切り離して爆破させたりと、多彩な戦法でデンジに迫る。中でも注目なのは、チェンソーマンと化したデンジとの車上での対決シーンだ。爆発による機動力を活かし、車を足場に繰り広げられるチェイスバトルは、まさに劇場の大画面でこそ映える圧巻のアクションとなりそうだ。

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