『アンサンブル』“真戸原”松村北斗が実の母と再会 明確に異なる3人の母親のスタンス

前回のエピソードから持ち越しになっていた、宇井(田中圭)の娘・咲良(稲垣来泉)の親権をめぐる一件。仕事をセーブしてまで一緒に過ごす時間を作ろうとしている宇井に気を遣って、咲良は実母の美沙希(市川由衣)と買い物に出かけ、「このままお母さんと暮らしたい」と言いだす。そんな咲良と話をする真戸原(松村北斗)は、自身の経験を踏まえて咲良に寄り添い、彼女の本心を引き出すのである。ここで「お母さんのこと嫌いになれない」という咲良に、真戸原が「それでいいんだよ」と返すやりとりはいい感じではあるが、今回のエピソードもまた、いろいろと散漫になっており、少々収拾がついていないことは否めない。
3月8日に放送された『アンサンブル』(日本テレビ系)は第8話。物語のなかに散らばった主要なポイントを簡潔に整理していくと、咲良の親権の話に、瀬奈(川口春奈)と真戸原の関係。後者に付随するように真戸原の実母・ケイ(浅田美代子)の登場によって真戸原家に新たな問題が生じ、そこで苦悩を深める真戸原に、瀬奈の母・祥子(瀬戸朝香)がやや追い打ちをかけるといったところか。いずれにしても、これらは一貫して“母親とは?”という点と“幸せとは?”という点でつながっていることは見て取れる。

まず冒頭でも触れた咲良の一件だが、咲良の宇井に対する小さな反抗はドラマ開始10分で収束し、あとは裁判所のみぞ知るというかたちで後回しにされる。中盤で真戸原は、咲良の卒業式に美沙希を招くのだが、そこでの咲良の幸せそうな様子を見たことで何故か美沙希は満足し、親権に関する申し立てを取り下げる。“母親とは?”を描くリーガルドラマであるならば、ましてや宇井が主人公カップルにおける最大の障壁になるのであれば、こんなにも見せ場となり得るものはなかったはずなのだが、想像以上にあっさりとした幕引きだ。それこそ裁判に持ち込み、『クレイマー、クレイマー』のように父親側の葛藤を描写していたら、ひとりぼっちになった宇井に瀬奈が流れてしまうという筋立てもできただろう。

また一方で、週末限定で同棲をはじめた瀬奈と真戸原に対し祥子はあまりよく思っていないようで、これまでと同様、瀬奈に文句を言う。数話前に祥子の過干渉問題は解決したと思っていたが、どうやらそう簡単に治るものではなかったようだ。そんなこともあってか真戸原は自分では瀬奈を幸せにできないと落ち込みっぱなしで、2人の関係は(というよりも真戸原の抱え込んだ感情において)不安定な状態。そうしたなかで、ケイがMATO庵に現れ、和夫(光石研)と有紀(八木亜希子)が喧嘩をして、有紀が家を出ていってしまうのである。






















