『アンサンブル』は恋愛の“コスパ”を問う現代的作品に 川口春奈の過去作から寄せる期待

恋愛ドラマが少なすぎる。いきなりどうしたという書き出しだが、言わせてほしい。特にゴールデンプライム帯は、1クールに1本、かろうじて2本あるかどうかというレベルだ。
2024年秋ドラマでは、『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)が恋愛に重心を置いた作品であったが、他はミステリー要素やヒューマン要素と恋愛が絡み合ったものが多かった。逆に言えば、どんなジャンルのドラマであっても人間が描かれてさえいれば、恋愛要素を絡めることは可能であるということだ。しかし、もう少し、相手への恋心や過去の恋愛に翻弄され、変な行動をとってしまうような、不器用でどこかもどかしい20代〜30代の登場人物による恋愛ドラマが観たいと思ってしまう。
1月18日から放送が開始される『アンサンブル』(日本テレビ系)は、そんな恋愛ドラマ欲を満たしてくれる作品ではないかと期待を寄せている。本作は、“現実主義”の弁護士である主人公・小山瀬奈(川口春奈)と、“理想主義”の新人弁護士・真戸原優(松村北斗)の恋模様を描くリーガルラブストーリーだ。正反対の考えを持つ2人が、恋愛が絡む案件を見事に解決していく姿と、仕事を通して惹かれ合う過程が描かれるという。

川口春奈と言えば、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)や『silent』(フジテレビ系)、『9ボーダー』(TBS系)など、仕事と恋愛に思い悩む等身大の女性を数多く演じてきた。自分が守りたい考え、相手の思いを大切にしたいという意思と、それでも生まれてしまう相手への恋心の狭間で揺れ動くときの川口の芝居の求心力は絶大で、彼女が溢す涙を見ていると、なんだか胸がつっかえたように苦しくなる。ここ数年、恋に思い悩みながら働く女性を演じさせたら、右に出るものはいないと言えるほど、恋愛で生まれる葛藤をリアルに表現してきた。

これまで川口が演じてきた役柄には、恋愛に対して逃げ腰というより、特定の相手に恋することを避けるキャラクターが多かった。『アンサンブル』で演じる瀬奈は、弁護士として男女トラブルを多く担当しているため、「恋愛はコスパ、タイパが悪い」と思っており、恋愛自体から距離を置いているようだ。そんな彼女が、真戸原と恋愛が絡む男女トラブルを解決していくことで、どんなふうに変化していくのかが見どころになりそうだ。