『御上先生』山下幸輝の“印象操作”術を分析 作り手たちの信頼も感じる冬木役への抜擢に

『御上先生』山下幸輝がみせた“印象操作”術

 山下がこの回に合わせてどのような演技プランで冬木像を作り上げてきていたのかは分からないが、これまでの印象について先述しているとおり、彼に対してあまりいい印象は持っていなかった。前髪やメガネで表情が隠れがちだったというのもあるかもしれないが、カメラのポジションやアングルに対して自身の顔の角度をどうコントロールするかで、私たち視聴者の彼の“見え方”は大きく変わり、印象が変わる。前者に関してはキャラクターを作るうえでの製作陣の要請なのだろうが、後者に関しては山下自身の意図から生まれたパフォーマンスなのだと思う。だから“ビジコン”の会場で観客(そして、画面越しの私たち視聴者)の前で真っ直ぐに顔を上げ、力強く発話する姿は、冬木の印象を完全に変えたのだ。

 俳優・山下幸輝の存在をここで認識したという方は少なくないのではないだろうか。何せ彼は、俳優としてデビューしてからまだ3年も経っていないのだから。とはいえ、凄まじい勢いで活動を展開しているのも事実。学園を舞台にしたものであれば、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(2023年/日本テレビ系)でも生徒のひとりを演じていたし、「日曜劇場」の枠でいえば『アンチヒーロー』(2024年/TBS系)でも重要な役どころに配されていた。

 映画では『TOKYO, I LOVE YOU』(2023年)と『マンガ家、堀マモル』(2024年)で主演を務め、同世代の才能が集った『【推しの子】-The Final Act-』(2024年)では、とある劇団の看板役者にして天才的な才能を持つ俳優を演じている。

 たったの数年のうちに、山下はこれだけのキャリアを築き上げている。彼が次代を担っていく存在として、『御上先生』の生徒役に選ばれるほどの力の持ち主であることを知っていた方もまた少なくないのだろう。第5話のような“主役回”が用意されていたのは、彼に対する作り手たちの期待と信頼の証でもある。主演の松坂が率いるチームの中で、ガラリと印象の変わった冬木を山下はどのように演じ続けていくのだろうか。

『御上先生』の画像

日曜劇場『御上先生』

「日本の教育を変えてやろう」という熱意を持ったエリート文科省官僚が高校教師となり、令和の18歳とともに、日本教育にはびこる権力争いや思惑へ立ち向かうオリジナル学園ドラマ。

■放送情報
日曜劇場『御上先生』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/

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