『アンサンブル』“瀬奈”川口春奈と“真戸原”松村北斗の関係が前進　“リーガル”要素も復活

　ところで、有紀が真戸原の気質について「分離不安症」と表現している点は少々疑問が残る。実の母親から置き去りにされた経験で、人と別れることが苦手になったとはいえ、それを理由に可奈子に別れを切り出せないというのは論理の飛躍であろう。また、そのまま会えなくなると不安に思い手を振り続けるという行動は、第2話のラストでたしかに描かれていた。手を振り続けた結果、家に入っていく瀬奈の後ろ姿に実の母親の姿を重ねて過去をフラッシュバックさせていたのだが、それ以降はそうした描写（手が触れ合ってフラッシュバックする描写は前回あったが）もなく、自分から瀬奈を置いてどこかへ行くこともしばしば。

　過去の経験がトラウマとして植え付けられていて、恋愛面において誰かと深い関係になろうとした時にそれが障壁になる、という程度の描写しかされておらず、分離不安症と定義するには真戸原の社会生活に影響を与えているとはあまり思えないのである。ドラマ的に考えても、そうした説明的な設定を付与せずとも、真戸原と（宇井のせいで）踏切の警報音が苦手な瀬奈。二人で一緒にいれば互いのトラウマを乗り越えていけるのだというシンプルなもののほうが、いくらかまとまりがよく思える。

■放送情報
土ドラ10『アンサンブル』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00～22:54放送
出演：川口春奈、松村北斗（SixTONES）、板谷由夏、長濱ねる、じろう（シソンヌ）、東野絢香、橋本マナミ、SUMIRE、戸塚純貴、横田真悠、田中圭
脚本：國吉咲貴、諸橋隼人、ニシオカ・ト・ニール
監督：河合勇人ほか
チーフプロデューサー：松本京子
プロデューサー：後藤庸介、大倉寛子、金澤麻樹
音楽：澤田かおり
主題歌：aiko「シネマ」（PONY CANYON）
制作協力：日テレアックスオン
©日本テレビ
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