寺田心の真っ直ぐな姿勢は松平定信にピッタリ! 『らんまん』からの成長刻む『べらぼう』

NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合、以下、『べらぼう』)で、後に松平定信として名を馳せる田安賢丸を寺田心が演じている。寺田心といえば、これまで子役として強い印象を残してきた。『べらぼう』に出演する彼の姿を見て、あの“寺田心”だと気づかなかった視聴者もいたのではないだろうか。
寺田が『べらぼう』に登場した際、SNSでは「朝ドラ『らんまん』にも出演されましたが、 また一段と大人っぽくなられましたね」「らんまんの虎徹くんの時も思ったけど、寺田心背が高くなったな〜」「寺田心くんがすっかり青年。らんまんの時はまだ少年だったのに……」などの声があがっていた。
寺田心は『らんまん』に新たな光をもたらす存在に? 神木隆之介と多い共通点
神木隆之介が主演を務める朝ドラ『らんまん』(NHK総合)の新たな出演者として寺田心が登場。物語はあたたかな陽の光が降り注ぐ野山で…
2023年に放送されたNHK連続テレビ小説『らんまん』でも、寺田は大きく成長した姿を見せている。『らんまん』で寺田が演じていたのは、高知の遍路宿「角屋」の息子・山元虎鉄。虎鉄は神木隆之介演じる主人公・万太郎が植物採集をしているところに出会う。第94話で初めて登場した際、山奥で万太郎から声をかけられて戸惑う、という演技にはなかなかの現実味があった。
寺田は虎鉄がのちに植物学に興味を持つという点を大事に演じている。万太郎の植物採集用の道具に興味を示す姿や、万太郎から「この山で、君が好きな草花はありますろうか?」と問われ、「こんまいお遍路さんがおるがです」と案内する際に見せた笑顔、珍しい植物との出会いに興奮する万太郎を見つめるまなざしに、植物や植物に向き合う万太郎の姿勢に関心を抱く様が感じられる。第95話では、自身が見つけた植物が「ヤッコソウ」と命名され、嬉しそうな笑みを浮かべた。豊かな自然に囲まれ、天真爛漫に育ってきたであろう虎鉄の胸にこれまでにない新たな情熱が宿る、そんな心に響く表情だ。
また、寺田の声色、台詞の言い回しも印象深い。虎鉄がお遍路さんを案内する声色には彼の優しい人柄が表れていた。また虎鉄は、学校の先生も名前を知らない植物を万太郎に見てほしいと標本を送る。「槙野先生、お手紙ありがとうございました」と手紙が寺田の声で読み上げられるのだが、その声は明るく快活で、虎鉄が送った標本と手紙が万太郎の背中を押すという場面に見事に調和していた。
一方、『べらぼう』で寺田が演じている賢丸は、聡明かつ生真面目な人柄。『らんまん』の虎鉄の人となりもまた真面目だったと思うが、改めて見比べてみると、寺田が近い気質のキャラクターをはっきりと演じ分けていることが分かる。