『御上先生』が指し示す社会と教育の“闇” 松坂桃李が異能の教師に

闇を暴いた気になっていた神崎への痛烈な一撃。同じクラスで幼なじみの富永(蒔田彩珠)は、神崎について「自分自身を知らない」と心配していたが、それと符牒を合わせるような頭をかち割る言葉だった。御上が言った「パーソナル・イズ・ポリティカル」は、個人的なことは政治的なことと訳される。フェミニズムのスローガンとして引用されることが多いが、神崎は学生時代に初めて知った。蝶の羽ばたきが遠く離れた地で竜巻を起こすように、一個人のスキャンダルはこの社会とつながっている。それを私たちは日々目にしているところだ。文科省を追われた御上が抱える闇は、赴任先の高校の問題や生徒一人ひとりの直面する現実と地続きであることを示唆した。
闇を闇で終わらせず、闇の中に真実もまたある。それを知るために必要なのは想像力だ。スマートなたたずまいの御上だが、強烈な違和感、あるいは異化効果を感じさせる。あたかも存在自体が既存の教育へのアンチテーゼのように見える。若き日の自分と似た志を持つ神崎が、御上の目に留まったのは偶然と思えない。鮮烈な第1話を通して、個人と社会というテーマが浮上した。御上自身も官僚としてこの国の政治という大きな箱の中でもがいている。その御上が生徒たちに何を伝えるか刮目して見届けたい。
■放送情報
日曜劇場『御上先生』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/























