『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』に膨らむ期待 “科学の力”でいよいよアメリカへ
『Dr.STONE』のTVアニメが帰ってくる。石化という奇妙な現象を経て石器時代に戻ってしまった人類が、科学の知識と団結力で文明を再建していくストーリーは、TVアニメの第3期で石化の原因が月にありそうなことが判明。1月9日から始まる第4期『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』ファイナルシーズン第1クールでは、主人公の石神千空が月に行くロケットを作るため、アメリカへと向かって航海に出る。ワクワクしそうな冒険とドキドキさせてくれそうな強敵が待つ第4期の放送に合わせ、『Dr.STONE』の面白さを振り返る。
『アイシールド21』や『トリリオンゲーム』の稲垣理一郎が原作を書き、『ORIGIN』のBoichiが漫画を描いて『週刊少年ジャンプ』に連載された漫画『Dr.STONE』。2022年に完結したが、TVアニメは2019年の第1期、2021年の第2期に続いて2023年に第3期が放送された。
『Dr.STONE』が描く発明と進歩の喜び
世界中の人間が謎の光を浴びて石化してしまってから3700年。科学が大好きで知識も豊富な高校生の石神千空が石化から目覚め、同じように自力で石化を解いた親友の大木大樹とともに石器時代に戻ってしまった世界でサバイバルを始める。ここで千空の持つ科学の知識が炸裂する。
火をおこしたり料理を作ったりといったアウトドア生活の延長に留まらない。石化時に宇宙にいた千空の父親の百夜をはじめとした宇宙飛行士たちが、地球に戻って残した子孫と合流し、鉄を作りガラスも作り抗生物質まで作って病気の人を治してしまう。TVスペシャル『Dr.STONE 龍水』や『Dr.STONE NEW WORLD』で本格的に登場し、気象や航海の知識を活かして大活躍する七海龍水が仲間に加わってからは、気球まで作って空に浮かんでみせるのだから進歩の度合いも凄まじい。
その後も、カメラを作り石油を見つけ鉄鉱石も掘り出して一気に文明の度合いを加速させる。龍水の執事だったフランソワが復活してからは、長持ちして美味しいパンも作れるようになってしまう。科学の知識と材料さえあれば、本当に何でも作れそうだと思えてしまい、自分でも何かもの作りをやってみたいという気にさせられる。バトルだけが続くのではなく、そうした発明と進歩の喜びを与えてくれるところが、『Dr.STONE』の人気の大きな理由だろう。
そしてもうひとつ、千空が発明した石化からの復活液を使って蘇らせた人々や、文明が途絶えた世界で生き延びてきた人々が次々に仲間となり、それぞれが持っている才能を活かしながら前に進んでいくストーリーが、ひとりでは無理でも大勢集まればできないことはないといった思いを抱かせてくれる。人類がどうして文明を発展させ、歴史を刻むことができたのかについて考える機会を与えてくれる展開だ。
千空が霊長類最強という力を求めて蘇らせた獅子王司が、理想に合わない者は排除する思想を示して敵に回ることもあったが、激闘の果てに司を眠らせ、千空は龍水や他の仲間たちと白夜たちが最初に降り立ったという「宝島」に向かう。そこでの冒険が第3期の『Dr.STONE NEW WORLD』で描かれ、石化という異常な現象を引き起こす装置の存在が明らかになり、「ホワイマン」と呼ばれるようになった謎の存在が、石化に大きく関わっていることも示される。
そして千空は「ホワイマン」がいるらしい月へと向かうことを決断する。
現実の世界で人類は半世紀以上も月に行けていない。技術的には可能でも、かかる費用に見合った成果が得られるとは考えられない状況で、夢だけのために月行きを目指すのは不合理だからだろう。『Dr.STONE』の世界は放っておけば人類に危害が及ぶ可能性を排除するという大義名分はあるが、技術も材料も足りていない。そこをどうするのかが第4期『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』のお楽しみとなる。