『海に眠るダイヤモンド』前原瑞樹がまさかのダークホース? 虎次郎役で要注目な人物に
早くも最終回を迎えることとなる日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。ここ数話は怒涛の展開が続き、放送されるたびに大きな反響を呼んできた。そんな中、一部で話題になったのが、第6話で初登場した虎次郎というキャラクター。演じているのは前原瑞樹だ。最初こそ一部の視聴者にとってのみ注目人物だったが、最終回を目前とした第8話を経たいま、全視聴者にとって要注目な人物となっているのである。
本作は、1955年からの石炭産業で躍進した端島(「軍艦島」ともいわれる)と現代の東京を舞台とし、およそ70年にわたる愛と友情、そして家族の物語を描くもの。神木隆之介が主演を務め、昭和の時代を生きる鉄平と、現代を生きる青年・玲央を一人二役で演じ、このスケールの大きな物語を率いてきた。作品を彩り、支えているのは、若手から大ベテランまでの演技者たちである。
そんな作品で前原が演じる虎次郎は、鉄平の幼なじみである朝子(杉咲花)の家族が営む銀座食堂の従業員だ。端島の人々の暮らしを支える若き料理人である。
現代パートで玲央が交流をしているいづみ(宮本信子)が朝子と同一人物なのだと明かされたときには驚いたものだ。けれども、端島が過酷な環境にある中でもささやかな愛を育んでいた鉄平と朝子は、恋人同士でありながら結ばれることはなかった。そう、第8話のラストで鉄平は、兄・進平(斎藤工)のパートナーであるリナ(池田エライザ)とその子どもとともに、端島を出ていってしまった。これには驚いた。そのうえ朝子が虎次郎と結婚したことが明かされ、視聴者によっては声を上げて驚いた者もいたのではないだろうか。
前原は演劇の世界に軸足を置きつつ、映画やドラマでもアクティブな活動を展開している気鋭の俳優だ。映画作品でいえば、『街の上で』(2021年)のヴィム・ヴェンダース好きの青年役や、『東京リベンジャーズ』(2022年)で主人公が働くネットカフェの店長役、『そばかす』(2022年)の主人公の妹の甲斐性なしの夫役など、出番がかぎられていてもアジのある演技をするから印象に残る。より正確にいえば、前原が演技をしているシーン全体が印象に残る。記憶に残る。作り手たちから愛されるのも納得だ。