奈緒×玉森裕太『あのクズ』“前進”に相応しいラストに ほこ美を突き動かした海里への思い
「プロになって写真撮ってもらうって。だから海里さんも約束守ってください」と発破をかけるほこ美は、ここで海里に対してだけでなく、自分に対しても改めて逃げないという約束をしたようだ。
海里との約束のためにボクシングの試合に出ることを決意したほこ美は、ハードな練習に取り組みながらも、足繁く海里の元に通い、声かけし頑なに閉ざされた彼の心の扉をノックし続けパンチし続けてきた。ゆい（岡崎紗絵）から送られてきたほこ美の練習風景とジムの皆との掛け合いが納められた動画に、海里は思わず笑みを浮かべるが、そうやってほこ美は海里がいつでも帰って来られる場所を守り、架け橋になっていたとも言える。
ほこ美が勝利を収めるボクシングの試合風景は迫力が凄まじく、その気迫が画面越しにも伝わる。リングで闘いパンチを繰り出すのは自分一人でも、そんな中“自分は一人じゃない”と思える人間は強い。セコンドに入ってくれるゆいだけでなく、ジムのみんな、応援に来てくれている家族に職場のお馴染みメンバー、そして約束を果たすために駆けつけた海里も間に合った。
海里が逃げずに向き合った悟（倉悠貴）もようやく重荷を下ろせたようだ。大地（大東駿介）との思い出を大切に抱きしめながら、海里と一緒に過ごした時間の中で嘘ではなかった瞬間の煌めきを認めることは、何も矛盾せずに両立することを、悟は受け入れられたようだ。
海里の撮影によって収められたパンチを決めた瞬間のほこ美は、対戦相手の先にこれまで半端ではない努力を積み上げてきた自分の歩みを迷いなく真っ直ぐ捉えているようで、写真展の名称「前進」にまさにふさわしい1枚だった。
■配信情報
火曜ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演：奈緒、玉森裕太、岡崎紗絵、小関裕太、倉悠貴、鳴海唯、玉井詩織（ももいろクローバーZ）、晝田瑞希、渡部篤郎、斉藤由貴
脚本：泉澤陽子、鹿目けい子
プロデュース：戸村光来、佐井大紀、宮﨑真佐子
演出：岡本伸吾、石井康晴、小牧桜
主題歌：PEOPLE 1「メリバ」
©TBS
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