『スカイキャッスル』小雪の高笑いは何を意味するのか? 浅見家崩壊のカウントダウン
折り返し地点に当たるであろう第5話目にして大きな形成逆転が描かれた『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)。
冴島家崩壊の真相を小説にしようとする南沢泉(木村文乃)を糾弾する地域住民の会が開かれるも、ヒートアップしていく言い合いの中で、既視感のある流れが観られた。浅見紗英(松下奈緒)が小学生だった頃、彼女をいじめるクラスメイトから庇うために思わず発した泉の一言によって彼女の父親が犯罪者であることがバレてしまったことがあった。同じく今回も弱者を簡単に切り捨ててはいけないという主張に続けて、泉は紗英に向かってあろうことか「それは施設で過ごしたあなたが一番よくわかってるでしょ」と口走ってしまう。
紗英の選民意識の塊のような態度はなかなか受け入れがたいものではあるにせよ、思わず相手の秘密を皆の前で口にしてしまう泉のデリカシーのなさもかなりの大問題だ。
そして何よりここ“スカイキャッスル”という高級住宅街のよろしくない特性が凝縮された展開が待ち受ける。これまでは散々羨望の眼差しを向けていた紗英の出自がわかるなり、彼女自身のみならず浅見家全体に対する周囲からの手のひら返しっぷりが凄い。
英世(田辺誠一)に対して影で鬼の首を取ったような態度を見せる二階堂亘(鈴木浩介)も同じだ。彼に部長の座候補に返り咲かせるためにカードを切れるのが自分しかいないことがわかると「あの古狸の弱みが握れる」とほくそ笑んでいた。
さて、何よりまずいのが紗英が優先し全てを捧げてきた娘・瑠璃(新井美羽)との間にまで大きな溝ができてしまったことだろう。ずっと母親に騙されていたことが許せず、またアメリカに住んでいる医師だと思っていた自分の祖父が犯罪者であることがわかったのだ。それは動揺してしまって当然だろう。瑠璃はますます受験コーディネーター・九条彩香(小雪)にだけ心酔するようになっていく。「自立すれば自由になれる。親こそが使い捨てにされるべき存在」と言い放つ九条だが、もしかすると一家離散してしまった冴島遥人(大西利空)にも同じような言葉を掛けたのではないだろうか。
九条は紗英が施設出身であることが街中にバレてしまったことを知った際に大声を上げて机を叩いて嬉しそうに笑っていたが、一体彼女はこのスカイキャッスルという街や紗英にどんな因縁を持っているのだろうか。