『スカイキャッスル』が問う“受験”のあり方 『ドラゴン桜』『二月の勝者』とどう差別化?

『スカイキャッスル』が問う“受験”のあり方

 主演に松下奈緒、共演に木村文乃、比嘉愛未、高橋メアリージュン、小雪らが名を連ねるドラマ『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)がついに7月25日よりスタートとなる。本作は、テレビ朝日が2022年に『六本木クラス』で組んだ韓国の大手スタジオ・SLLとの再タッグで贈る、大人気韓流ドラマ『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち~』のジャパン・オリジナル版。日本の高級住宅街を舞台に、子どもを名門校に合格させるべく敏腕受験コーディネーターのもとに集ったセレブ妻たちのマウントバトルを描くサスペンスミステリーだ。

 熾烈な受験戦争が繰り広げられる韓国。大学入試に遅れそうな学生をパトカーや白バイが受験会場まで送り届ける場面をテレビで見かけたことがある人も多いのではないだろうか。それくらい韓国では学歴、ひいてはその後の人生を決める受験は一大イベントであり、ゆえに『SKYキャッスル』や『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』、『シュルプ』など、受験をテーマにした個性豊かなドラマが多数存在する。

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 日本を学歴社会と見るかどうかは人によって異なるが、大人になると就活や婚活など学歴が重視される場面は意外と多い。受験ドラマも人気ジャンルの一つで、特に人気なのが、『ドラゴン桜』(2005年・2021年/TBS系)シリーズだ。元暴走族の弁護士・桜木建二(阿部寛)が落ちこぼれの生徒たちを東大合格へと導く本作。綺麗事を抜きに世の中の厳しさを伝える桜木の台詞は耳が痛くなるものばかりで、中でも「バカとブスこそ東大へ行け!」は原作にはないが、本作を象徴とする台詞となった。字面だけ見ると顔をしかめてしまいそうになるが、要は「舐められない人間になれ」ということだろう。本作はさまざまな事情でくすぶっていた高校生たちが東大受験を通じて、他人にも自分にも舐めさせない、馬鹿にさせない人間へと成長していくドラマとも言える。

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 一方で、桜木の言葉が刺さるのは、社会の理不尽さをある程度理解している高校生だからだろう。「バカとブスこそ東大へ行け!」と生徒に訴える桜木に対し、「凡人こそ中学受験をするべき」と子供の親に熱弁を振るうのが、『二月の勝者-絶対合格の教室-』(2021年/日本テレビ系)の黒木蔵人(柳楽優弥)だ。本作は、昨今過熱する中学受験(中受)のリアルを描いたドラマ。東京の中学受験塾を舞台に、スーパー塾講師の黒木が教え子たちとともに全員合格を目指す。中受は「親子の受験」とも称され、本人の努力はもちろん、親のサポートが必要不可欠だ。本作ではそれを「母親の狂気と父親の経済力」という強烈なフレーズで表現する。中受はお金も労力もかかるし、相当な覚悟が必要だ。教育をビジネスと捉えるスーパー塾講師の黒木は子供たちの“スポンサー”たる親の支援が止まらないように、いかに中受が大事かを論理的に説く。

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 だけど、どんなに親が懸命にサポートしても子供の心が途中で折れてしまったら意味がない。本作では親に言われるがまま入塾したが、受験に意味を見出せなかったり、勉強のストレスで自傷行為に及んだりする子供たちの姿も描かれている。そんな生徒に、黒木はさりげなく頑張る理由や最適な環境を与えるのだ。親と子どもの両方にアプローチをかける。まさに「親子の受験」と呼ばれる中受の実態をよく描いている。

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