『マル秘の密子さん』福原遥の笑顔が視聴者を翻弄 この夏最も目が離せないサスペンスに

『マル秘の密子さん』福原遥の笑顔

「大事なのは思い切って一歩を踏み出すこと。あなたが変われば、世界は変わるから」

 シンデレラのように魔法使いが自分を変えてくれたら。そんなふうに願ったことはないだろうか。7月13日にスタートした『マル秘の密子さん』(日本テレビ系)はトータルコーディネーターの本宮密子(福原遥)が、自信が持てずにいる人間に一歩を踏み出すための魔法をかける物語だ。依頼主の望みを叶えるためなら、手段は選ばない。この夏最も目が離せないダークヒロインが誕生した。

 そんな彼女の新たなターゲットは、不運続きのシングルマザー・今井夏(松雪泰子)。長男の智(清水尋也)と長女の彩(吉柳咲良)を女手一つで育てながら介護士として働く夏は、大企業「九条開発」の社長・謙一(神保悟志)を偶然にも火事から助けたことから、退院後のケアを任された。だが、献身的な介護も虚しく謙一は死亡。本来ならば、2人の子どもの内どちらかがその後を継ぐはずだったが、謙一は遺言書に会社の株を全て夏に譲渡すると残していた。それまで貧しく平凡だった人生から一転、夏は大企業の大株主になってしまったのだ。

 密子は謙一にそんな夏の支えになってほしいと頼まれていた。彼女の仕事はコーディネートだが、対象はファッションだけに留まらない。メイクや持ち物、しゃべり方や歩き方、立ち振る舞いに至るまで、目的に合わせてその人を丸ごと変化させる。だが、密子にどれだけその技術があっても、本人に変わる意志がなければ意味がない。夏は他人に遠慮がちで、九条開発の株も謙一の家族に言われるがまま差し出そうとしていた。

 けれど、そんな彼女にも唯一気がかりなことが。それは謙一が生前、「孤独で寂しい思いをしている人たちに生きる勇気を与えたい」と福祉の町をつくろうとしていたこと。次期社長候補の一人である遥人(上杉柊平)はそれを覆し、リゾート開発を進めようとしている。それを食い止められるのは、謙一から思いを託された夏だけだ。それでも、自分には何もできないと思い込んでいる夏に密子は最初の魔法をかける。密子にファッションとメイクを施され、鏡の前に立った夏は先ほどとはまるで別人。不幸を背負って生きていたような女性はもういない。

 「外見が内面を変える」という密子の言葉通り、夏が九条開発の次期社長を決める経営会議に変身した姿で現れ、「九条開発の次期社長に立候補いたしますと毅然とした態度で言い放つ展開は痛快だ。他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる。そんなメッセージが聞こえてくるようで、見ているこちらも背中を押された。

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