“胡散臭い役”がハマる? 荒川良々、沢村一樹、山本耕史らの巧妙な演技力

“胡散臭い役”がハマる俳優の魅力とは?

 本心を掴みきれない存在というのは、物語に緊張感をもたらしてくれるが、『鎌倉殿の13人』(NHK総合)で、主人公・北条義時(小栗旬)の盟友・三浦義村役を務めた山本耕史はまさにその筆頭だった。義時と対峙した際にも本心のわからぬ複雑な表情を見せ、共有した秘密の数だけ、救われた局面の数だけ義時は義村に対して借りができ、弱みを握られていく。その変幻していく人間関係の力関係やバランスがまた見どころとなった。

山本耕史、三浦義村として“裏切り”の心苦しさはなかった? 『鎌倉殿の13人』撮影秘話

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』がついに終わりを迎える。物語の中盤に差し掛かる頃、脚本を手掛ける三谷幸喜がインタビューで語った…

 また『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系)では、記憶を失った主人公・まこと(生見愛瑠)の前にどうやらかつて交流があった3人の男性が現れるが、その中でもまさかのどんでん返しを見せたのが“自称元カレ”の公太郎(瀬戸康史)だ。実際には2人は交際していなかったどころか、花屋の店主と客という関係のみだった。それが、とある後悔や罪悪感から元カレとして記憶を失った彼女を支えようと思いついた公太郎の責任感が嘘をつかせたのだった。

『くるり~誰が私と恋をした?~』©︎TBS

 公太郎の場合にはまことから何かを奪い取ってやろう、騙してやろうと悪意があって“元カレ”を詐称していたわけではないからこそ、彼自身も探り探り距離感をはかりつつ、揺れながらまことと向き合っていたように見えた。記憶喪失のまことの意思を尊重して一気に距離感を詰めすぎないようにという配慮や、公太郎の見せかけだけの優しさを嫌うストレートさがベースにあった上で、何かまだ話せていないことがあるのかと思っていたら、意外すぎる展開に。節々に公太郎の実直さが滲みつつも、頑なに距離感が近づき過ぎないように努めてクールに振る舞っていた公太郎の苦悩も垣間見えた。

 今見えている一面だけではない裏面を含ませながら重層的な人物像を作り出す愛すべき“訳アリ”キャラクターたち。A面とB面を行き来しながら周囲を惑わせたり魅了していくさまを引き続き堪能したい。

■放送・配信情報
ドラマ8『テレビ東京×WOWOW 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官』
Season1:テレビ東京系にて、毎週金曜20:00~20:54放送
Season2:WOWOWプライム、WOWOW オンデマンドにて、6月29日(土)スタート 毎週土曜22:00〜放送・配信
出演:向井理、内田理央、荒川良々、結木滉星、上川周作、松本若菜、橋本じゅん、梶原善、伊藤淳史
脚本:𠮷田康弘、丸茂周、いとう菜のは
監督:河野圭太(共同テレビ)、都築淳一(共同テレビ)、下向英輝
音楽:諸橋邦行
チーフプロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京)、堤口敬太(WOWOW)
プロデューサー:木下真梨子(テレビ東京)、本間かなみ(テレビ東京)、小髙史織(WOWOW)、元村次宏(東通企画)、藤田結衣(東通企画)
製作:テレビ東京、WOWOW
制作協力:株式会社東通企画
©テレビ東京 WOWOW
公式サイト:https://www.doublecheat.com/
公式X(旧Twitter):@tx_wowow
公式Instagram:@tx_wowow

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