『ガールズバンドクライ』はまるで実写ドラマの仕上がりに 突き抜けた3DCG&音楽の説得力
冒頭の仁菜の一人称視点が印象的だった第2話。足元をぐるっと見回しながら、主人公の存在を視聴者に意識させ、没入感を高めているシーンは3DCGならではの演出だ。その後にトイレの扉を開けるタイミングで三人称に変わるのも斬新な手法で面白い。また、仁菜の喜怒哀楽も印象的だった。過去のトラウマから桃香に紹介された同年代の安和すばるに対して冷たく当たってしまった仁菜が、帰り道に「馬鹿じゃねーの!」と大粒の涙を流し、泥酔したサラリーマンに怒鳴られる。仁菜の様々な思いが詰まった葛藤が表情から感じられ、まるで実写ドラマを観ているような感覚になった。
音楽アニメである以上、映像と同様に重要な要素となってくる音楽であるが、本作に欠かせないのがトゲナシトゲアリの奏でる音楽だ。2021年6月から約1年半にわたって行われたオーディション「Girl's Rock Audition」によって選ばれた5ピースバンドで、理名(Vo.)、夕莉(Gt.)、美怜(Dr.)、凪都(Key.)、朱李(Ba.)で構成されている。昨年8月にYouTubeに公開された「爆ぜて咲く」のMVは4月18日現在までで、1056万回の再生回数を誇っており、大きな反響が寄せられている。第1話から放送されたオープニングは、アーティストのMVのような迫力のある映像となっており、作品に彩りを与えていた。第3話以降、バンド活動が活発化していく中で、トゲナシトゲアリによる音楽とアニメーションが活かされたシーンも増えていくことだろう。
第2話にして前評判以上の大きなインパクトを残している『ガールズバンドクライ』。豊作だとされている春アニメだが、本作は順調な滑り出しと言えるだろう。様々なメディアミックス展開も含めて、今後の動向が楽しみだ。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2023/09/post-1432849.html
■放送情報
『ガールズバンドクライ』
TOKYO MXほかにて、毎週金曜24:30~放送
原作・企画・製作:東映アニメーション
シリーズ構成:花田十輝
音楽プロデューサー:玉井健二
劇伴音楽:田中ユウスケ(agehasprings)
キャラクターデザイン:手島nari
CGディレクター:鄭載薫
シリーズディレクター:酒井和男
キャスト:理名、夕莉、美怜、凪都、朱李
©東映アニメーション
公式サイト:https://girls-band-cry.com/
公式X(旧Twitter):https://x.com/girlsbandcry