『Destiny』田中みな実の破滅へ向かう演技の切迫感 大学生活で描かれた5人の友情と“苦悩”
しかしそれを知美に「女子高生レベル」で「くだらない」と一蹴されたことで、自分の中にある嫉妬心を見透かされたようで図星な部分もあったのだろう。それと同時に大切に紡いできた5人の友情を「くだらない」と切り捨てられ、自分にはもう帰る場所もなければ、自分を必要としてくれる場所もないと思ってしまったのかもしれない。
どんどん追い詰められ壊れていくカオリ役を演じる田中みな実の演技は、「そんなことぐらいで」なんて一言では到底片付けられない、あの当時のなんだか苦く切羽詰まった思いを呼び起こしてくれる必死さがある。自らどんどん苦しい方に身を投じてしまう不器用なカオリは、だからこそ5人の関係をはなから終わりのこない「友達」の枠に大切にしまっておきたかったのだろう。あの時あんなふうにこぼした言葉は他の誰でもない自分自身への牽制であり、誓いであり、祈りでもあったのではないだろうか。
「ねぇ、一緒に死なない? 死のうよ」と疲弊し切っているのにまだ何かを諦め切れてはいないカオリの“破滅”まっしぐらのドライブは、奏と真樹が付き合うきっかけになった大雨の中のドライブと見事に対をなしていた。「死ぬ時は一緒。奏と一緒なら死んでもいいな」と言いながら大雨の中楽しそうにハンドルを切る真樹の表情を思い出すと、確かにカオリの「どうして私は一番欲しいものが手に入らないの?」がよりやるせなく聞こえる。
それにしても “愛されてると思ってた人に消えられる”ことのキツさを誰よりもわかっているはずの真樹が、なぜ奏の前からいなくなったのか。奏の心にもう一度深い傷を負わせることになるとわかっていながら、それでも姿を消すしかなかったのはなぜなのか。彼らの“初恋”はどんなタブーを犯していたのか、ひりつく胸の痛みを覚えながら一緒に真相を追いたい。
■放送情報
『Destiny』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:石原さとみ、亀梨和也、宮澤エマ、矢本悠馬、田中みな実、安藤政信、仲村トオル、佐々木蔵之介、高畑淳子、曽田陵介
脚本:吉田紀子
監督:新城毅彦、星野和成、中村圭良
音楽:得田真裕
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:浜田壮瑛(テレビ朝日)、森田美桜(AOI Pro.)、大古場栄一(AOI Pro.)
制作協力:AOI Pro.
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/destiny/
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