桜井ユキ×土居志央梨×平岩紙×ハ・ヨンス 『虎に翼』寅子と一緒に“地獄”行きの同級生たち

『虎に翼』“魔女部”の寅子の同級生

最年長の学生で努力家・大庭梅子(平岩紙)

大庭梅子/平岩紙
大庭梅子/平岩紙

 寅子の同級生で一番年上の学生、大庭梅子を演じるのは平岩紙。梅子には弁護士の夫がおり、家庭では3人の息子の母親だ。

 今作は平岩にとって4作目の朝ドラ出演となる。2016年度前期放送の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』では、ピエール瀧演じる弁当屋の大将の妻であり、川栄李奈演じる富江の母親を演じていた。平岩の演技幅は広く、決して母親役ばかりではないが、テレビCMや『とと姉ちゃん』での母親役もあってか安心感がある。

 今作の梅子は「若いとおなかがすくから」が口癖でおにぎりを作ってくるなど、母親的な存在で皆から慕われる。同級生を娘のように思い、あたたかな雰囲気で包み込む梅子に優しげでおっとりとした印象を抱くが、法律家を志す熱は皆と同じ。当時の法律では、離婚しても女性が息子たちの親権を持つことができなかった。そんな状況を自分で変えたいという強い思いが梅子にはある。平岩はきっと、寅子たちと同じく法律を学ぶ1人として強い気持ちをもった梅子の“強さ”を、梅子の穏やかさとともに見せてくれるはずだ。

朝鮮半島からの留学生・崔香淑(ハ・ヨンス)

崔香淑(さいこうしゅく・チェヒャンスク)/ハ・ヨンス
崔香淑(さいこうしゅく・チェヒャンスク)/ハ・ヨンス

 法律を学んだ兄の勧めで明律大学女子部に進学した留学生、崔香淑(さい こうしゅく/チェ ヒャンスク)を演じるのはハ・ヨンス。丸眼鏡と人懐こそうな微笑みが印象的な人物だ。第2週の予告編で見せた困り顔はコミカルで愛らしい。その親しみやすい表情を見ていると、今後描かれるであろうさまざまなトラブルの中で、緩衝材のような役割を果たしてくれるのではないだろうか。

 ハ・ヨンスは韓国・釜山出身で、数多くの韓国映画、テレビドラマに出演後、2022年より日本で活動を開始。NHKのドラマは今回が初出演となる。公式ガイドブックで「日本語は独学で勉強してきました。だから、『虎に翼』への出演が決まってうれしかったものの、セリフがとても不安だったんです」と話していた。日本語の勉強を続け、上達を実感していると話すハ・ヨンス自身の勉強熱心さが演じている崔香淑の真面目さにも表れているようだ。

 時代が進むにつれて、崔香淑と兄には逆風が吹き荒れるという。彼らが直面するつらく厳しい現実を思うと心が苦しくなるが、寅子同様、“地獄の切符”を手に入れた1人として、彼女らしく立ち向かう様に期待したい。

 寅子の4人の同級生は皆、年齢も生い立ちも異なり、それぞれが悩みを抱えている。しかし彼女たちは、すべてに全力な寅子に感化され、内に秘めていた強い意志を表に出すようになっていくようだ。法律家を志す寅子の成長とともに、彼女たち1人1人がどのように変化していくかも今作の見どころの一つといえよう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる