森田望智は『虎に翼』の“空気”を変えた “したたかに生きる”花江の強さを体現

森田望智が『虎に翼』で体現する“女性像”

 『ブギウギ』からバトンを受け取り、新たに放送がはじまった朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)。本作ではヒロインの“トラコ”こと猪爪寅子(伊藤沙莉)らの幼少期パートが描かれないためか、さっそくにぎやかな展開となっている。

 ドラマははじまりこそが肝心。そんな序盤の重要パートで盛り上げ役のひとりを担っているのが森田望智である。朝ドラへの出演はこれが2度目。多くの方が彼女の活躍に期待を寄せているのではないだろうか。

 本作で森田が演じるのは、寅子の女学校の同級生であり親友の米谷花江。女学生のうちに結婚するのが夢で、寅子の兄・直道(上川周作)と婚約中だ。家庭に入ることが必ずしも女性の幸せではないと考える寅子とは正反対の思考の持ち主……かと思いきや、じつはそうでもないらしい。彼女は一目惚れした直道のことがたまらなく好きで、自らの強い意志によって結婚への道を歩んでいるのだ。

 『虎に翼』の放送がはじまる前に花江のキャラクター情報を目にして、「はて?」と思ったのは私だけだろうか。森田はこれまでにいくつもの作品で、強い主体性を持ったキャラクター(=女性像)を生み出してきた。たとえばそれは、Netflixシリーズ『全裸監督』(2019年〜2021年)で演じたヒロインがまさにそう。誰もが憧れるような豊かな教養を持ちつつ、自らの選択と決断によって性の世界を突き進んでいく人物だった。それに、はじめて出演した朝ドラ『おかえりモネ』で演じた気象予報士の役もそうだったではないか。

森田望智の芝居からなぜ目が離せないのか 『おかえりモネ』『全裸監督』での心情表現

「いいかげん、女性の笑顔はドン引きと表裏一体って覚えてください」  第10週より舞台を東京に移した『おかえりモネ』(NHK総合…

 こういったキャラクターたちを演じてきた森田だからこそ、“女学生のうちに結婚するのが夢”という点がどうにも引っかかっていたのだ。しかし第3話の時点で合点がいった。花江は家庭や男性を支えることを自身の目的にしているわけではない。彼女自身が主体的に直道を欲しているのだ。結婚ではなく法の道に進もうとする寅子にかけた「どうしても欲しいものがあるならしたたかに生きなさい」という一言が、花江というキャラクターのすべてを物語っているだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる