宇野維正の興行ランキング一刀両断!
春休みブーストに入った『ハイキュー!!』とアカデミー賞ブーストに入った『ゴジラ-1.0』
3月第2週の動員ランキングは、公開4週目の『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』がたった1週で『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』から首位を奪い返した。週末3日間の動員は57万4000人、興収は8億4300万円。この数字は、先週の同期間との興収比で実に161%。3月9日から配布された第2弾入場者プレゼント(「音駒高校最後の集合写真」)の効果も大きいが、学生が春休みシーズンに入ったことでブーストがかかっている側面もあるだろう。公開24日間の累計成績は、動員438万7300人、興収62億8100万円。100億円の大台も見えてきた。
2位『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』の週末3日間の成績は、動員40万9000人、興収5億200万円。初登場作品で最上位につけた3位の『映画 マイホームヒーロー』の週末3日間の成績は、動員8万1000人、興収1億1000万円。つまり、1位と2位の差以上に2位と3位には大差がついていて、完全な2強状態。先週末、一部のIMAXやドルビーシネマのラージフォーマットスクリーンで先行上映をおこなった、北米興行においても全世界興行においても今年最大のヒットを記録中の『デューン 砂の惑星PART2』が、今週末そこに割って入ることになるかどうかが注目される。
もう一つ、注目すべきは今週おこなわれた第96回アカデミー賞授賞式で視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』と、長編アニメーション賞を受賞した『君たちはどう生きるか』の動向。昨年11月に公開された『ゴジラ-1.0』は興収60億円超え、昨年7月に公開された『君たちはどう生きるか』は興収80億円超えと、既にロングヒットで作品のポテンシャルに見合う興収を計上しているが、特に『ゴジラ-1.0』に関してはアカデミー賞の受賞以降、ウィークデイの興収が先週比で連日1000%超えるなど、さらにもう一段階上へと到達する見込み。来週3月20日には、アカデミー賞受賞記念大ヒット御礼舞台挨拶&全国同時生中継もおこなわれる。
一方、北米のメディアでは『ゴジラ-1.0』が今年の2月1日までに上映を終了していて、現時点で配信のリリースもされていないことにメディアから疑問が呈されている。(※)これは、アカデミー賞を受賞した作品としては極めてレアなケースで、その背景には、3月29日に公開が控えている『ゴジラxコング 新たなる帝国』(日本公開は4月26日)を製作したレジェンダリー・ピクチャーズと東宝との「北米では東宝の『ゴジラ』フランチャイズとレジェンダリーの『ゴジラ』フランチャイズを同じ年に公開しない」という取り決めがあると言われている。つまり、今年に入ってからも1ヶ月間『ゴジラ-1.0』の上映が続いていた(公開最終週もボックスオフィス8位と、まだ公開が続いていてもおかしくない成績だった)こと自体が特例であったということ。『ゴジラ-1.0』は北米だけで5642万ドル(約83億円)と、『パラサイト 半地下の家族』を抜いてアジア映画の歴代記録を更新したものの、アカデミー賞後にも公開が続いていればその記録を大幅に上積みできたに違いないだけに、なんとももったいない話だ。
参照
※ https://www.indiewire.com/news/general-news/godzilla-minus-one-isnt-streaming-theaters-why-1234958823/
■公開情報
『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介ほか
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT
配給:東宝
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