『ブギウギ』における“みのすけ”の重要性 迷惑者・鮫島記者は愛らしいキャラクター?

『ブギウギ』における“みのすけ”の重要性

 それにこの鮫島という男は『ブギウギ』において、かなり重要な役割を担っている。何せいまではおミネたち“パンパンガール”とスズ子の関係は、戦後という激動の時代を生きる「同志」だといえるものになっている。鮫島の書いた記事が世に出なければ、もしかすると彼女たちが出会う機会はなかったかもしれない。つまり彼は、物語に新展開を持ち込む役どころなのだ。

 この第21週「あなたが笑えば、私も笑う」でも鮫島記者はしっかりやらかしてくれるらしい。彼の策略によって、スズ子の生涯のライバルである“ブルースの女王”こと茨田りつ子(菊地凛子)をピリつかせ、ふたりは“対決(対談)”をすることになるのだ。

 りつ子は自身の歌に納得できないスランプ期にあり、スズ子は仕事に子育てにと忙しい日々。そんなタイミングでふたりをぶつからせるだなんて、あまりにも許し難い愚行だ。これによって彼女たちは、一時的に決裂することにだってなるかもしれない。

 第9弾の新キャスト発表時に制作統括の福岡利武は、「みのすけさんは神出鬼没な芸能記者。ふてぶてしく、いやらしく、でもどこか愛らしい、そんな男を熱演してくれています」と語っている。いまのところ「愛らしい」とは思えないものの、憎たらしい男だが視聴者にとってはちょっと愉快な存在でもあるのは事実だ。そう、彼の動向が『ブギウギ』の世界に新たなドラマを生み出すのだから。

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 物語がネガティブなほうへと傾けば、すぐさまポジティブなほうへと軌道修正しなければならない。鮫島の言動は作品全体をネガティブな印象のものに変えてしまう。それをスズ子がポジティブなものへと変えることに強いドラマ性がある。もしかするともうすでに、心のどこかでは“鮫島記者=みのすけ”のことを「愛らしい」と感じているかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー) 
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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