『相棒』右京の“宿敵”南井がまさかの復活 小説『シャーロック・ホームズ』との酷似
「ワイアット」「非凡人」「食物連鎖」という3つのキーワードから真相を探り当てるのは、知識が豊富で、各国の歴史にも文学をはじめとした文化・芸術にも精通している右京にしかできない芸当だ。淡々と点と点を繋いでいく右京の“推理ショー”は特命係のいつもの部屋で開かれたのだった。そして亀山が事件を整理しようと事件現場に印をつけ始めると、その形は逆五芒星に。その瞬間、その背後に右京は南井(伊武雅刀)の存在を感じ、震え始める。
南井とは、スコットランドヤードに所属していた警部で、右京のロンドン研修時代の相棒だった男。右京に並ぶ鋭敏な頭脳に加え人の心を開かせる才能を持ち、右京ですら「犯罪者さえも南井の前では自供を始める」と評するほどの優秀な刑事だった。彼は、右京の相棒が4代目の亘(反町隆史)だった時に、何度か来日。右京とともに事件を解決するが、いつも犯人は自殺し、幕を下ろしていた。その度に右京は南井の関与を疑っていたのだが、最後には南井が老化に伴う認知障害を患っており、感情の抑制が出来なくなったり、記憶や見当識にも障害を抱えていたことが判明。自ら事件を起こしてはその事実を忘れて自ら捜査をするといった行為を繰り返していたことがわかる。右京は悲しそうな顔を浮かべながら南井を逮捕し、病院に収容するが、南井はすぐにそこから抜け出し、近くにあった滝へ身を投げてしまう。近くに血痕があり、身を投げれば到底助かりそうもない高さであることから遺体は見つからなかったが「死亡」と判断された。
実は、この描写はシャーロック・ホームズとその最大の敵・モリアーティが最後に対決し、ホームズが転落したライヘンバッハの滝に酷似している。小説『シャーロック・ホームズ』シリーズでは、この後、死んだと思われるホームズが帰還している。右京は和製シャーロック・ホームズと言われているが、同じような頭脳を持つ南井が、自分がホームズで、右京がモリアーティと思っていてもおかしくはないので、「南井の帰還」はあり得る話なのだ。その予想通り、場面が切り替わると、電話で南井を思わせるトレンチコートと革の手袋をし、車椅子に乗った男性と会話する男の姿が。彼は、電話先の男を「父さん」と呼んだ。やはり南井は生きており、息子までいるのだろうか。
亀山は自分がいない間に起こったことで深く感情が揺り動かされ、今も激しく動揺している右京の姿に戸惑っているようだった。10年以上の時を経て再び右京と相棒となった亀山は右京のことを「少し変わったな」と思ってはいただろうが、ここまで大きな断絶を目の前にしたことはなかっただろう。この事件が2人の関係性に少しばかり変化を与えそうである。
ここまできたら、次回はやはり解決編だろう、と意気込んだらどうやらそうではないらしい。解決したとは言い難い事件と南井復活の示唆。長年のファンであればあるほど抱えてしまう嬉しいような、そうでもないような、このなんとも言い難い気持ちを表すのはとても難しい。今後、この続きがありますようにと願うことしかできない。
■放送情報
『相棒 season22』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00〜放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西 惇、田中隆三、松嶋亮太、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二、美村里江、新納慎也、真飛聖ほか
脚本:輿水泰弘
監督:権野元
制作:テレビ朝日/東映
©︎テレビ朝日
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