『相棒』は脚本家で観るのも面白い 過去シリーズには『どうする家康』古沢良太も

『相棒』は脚本家で観るのも面白い!

 「杉下ご夫妻ですね」と始まった予告映像に驚いて声が出てしまった。2月8日放送の『相棒 season21』(テレビ朝日系)第16話は、亀山(寺脇康文)・美和子(鈴木砂羽)夫妻とともに、なぜか右京(水谷豊)と「こてまり」の女将・茉梨(森口瑤子)が仮の夫婦となって、曰く付きの山荘を訪れる。プライベートという体なので、いつもの服装とは異なり、黒のタートルネックを着ている右京はなかなかにダンディだ。

『相棒 season21』2月8日(水)よる9時放送/第16話 予告動画

 1週前の第15話で亀山が美和子と行ったレストランで皿に残ったイカに対して、「これは、冷凍されてて、凶器になったりは、してないよね?」と確認していたことと、男女4人で豪華な屋敷を訪れるというシチュエーションから、往年のファンの間では、今回が『season2』第3話「殺人晩餐会」を彷彿とさせると大きな話題になっている。亀山が特命係に復帰してからというもの、このような過去シリーズの中の小ネタを使った場面が増えており、亀山が帰ってきたからこそ生まれているやりとりを楽しんでいる人も多いことだろう。

 『相棒』は各話ごとに担当する脚本家が異なることで知られている。『season21』第16話の脚本を担当している神森万里江は、『season17』より『相棒』の脚本家陣に参加しているが、今シリーズでは初登場。最近では日曜劇場『アトムの童』(TBS系)を手がけている。オマージュの元ネタとなっているのではと話題となっている『season2』第3話は、長年『相棒』の脚本を担当し、派遣労働者の貧困問題を題材とした『Season 9』第8話「ボーダーライン」をはじめとする名作を数多く残している櫻井武晴が執筆している。『相棒』はスタートから20年以上も愛される長寿シリーズだが、その「相棒らしさ」は時を経ても脈々と受け継がれているのだ。

 『相棒』とはテイストが異なる作品を手がけていた脚本家が、現在の『相棒』の脚本を担当していたり、過去の作品を執筆していることもある。SNSの反応欲しさに過激な動画を撮り、最終的にはそれが事件につながってしまった『season21』第9話の脚本を担当した根本ノンジは、他にも『監察医 朝顔』シリーズ(フジテレビ系)や『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)を手がけている。『season13』、『season14』で脚本を担当した藤井清美は、東海テレビとWOWOWが共同制作したドラマ『准教授・高槻彰良の推察』シリーズのような推理ものも手がけているが、映画『るろうに剣心』の脚本担当としても知られている。現在は舞台でも脚本・演出を担当するなど別フィールドでも活躍中だ。

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