『相棒』キャラクターならではの魅力が詰まった年内ラスト放送 トリオ・ザ・捜一も大活躍

『相棒』ならではの魅力が詰まった第9話

 右京(水谷豊)の冷静な推理、美和子(鈴木砂羽)や伊丹(川原和久)ら「トリオ・ザ・捜一」の活躍、コミカルな警察上層部のおじさんたちなど『相棒 season22』(テレビ朝日系)の第9話は、特に派手なことは起こっていないが「相棒」ならではの魅力が詰まった回となった。

 弓生(赤ペン瀧川)という青年実業家が、闇金トラブルでヤクザと揉め、組の若頭を絞め殺す事件が発生。問題の組は、武闘派として知られる広域指定暴力団「扶桑武蔵桜」。その組長である桑田圓丈(大石吾朗)は、正義に目覚める前の内村(片桐竜次)と親しい仲にあり、特命係とも浅からぬ因縁を持つ人物。組の若い衆は報復しようと暴発寸前だったが、トップである桑田はなぜか静観を決め込んでいた。そんな中、検察は弓生の正当防衛を認め、無罪放免を言い渡す。それを知った内村は、右京と亀山(寺脇康文)に、弓生の身辺警護を指示。ボディーガードとして弓生とともに行動していた矢先、桑田の子分から「弓生が若頭の葬式に来て、線香をあげれば報復なく手打ち」という思い掛けない提案がもたらされる。

 警護といういつもとは異なる状況になっても右京の先の先まで読む鋭い推理と冷静な判断が冴え渡っていた。右京はいきり立っている若い衆ではなく、沈黙を貫いている組長の桑田を警戒。若頭の葬式に弓生が参列する際には、内密に「トリオ・ザ・捜一」の3人を近くに配置していたのだ。その結果、やはり報復として弓生を殺そうとしていた桑田の目論みを阻止することに成功した。

 弓生が若頭を格闘技の技を使って殺してしまった事件については、やってしまったことを弓生が認めているため、右京たちが捜査をする必要は特になかったが、ひとつ疑問があった。割と小柄な弓生がどうして筋骨隆々の若頭の背後をとることができたのかがわからなかったのだ。事件は自供という形で解決しているし、相手の暴力団はさらにひどいことを弓生にしようとしている。はっきり言ってこのままでも事態は丸く収まるのだ。だが、右京は「最初に刃物をむけてむかってきたのは若頭の方である」という弓生の主張が嘘であることを暴き、若頭に刃物を向け、向かってきた弓生を避けたことで、若頭は背後を取られることになってしまったという真実を突きつけた。結果的に一時的にでも殺意があった弓生は、罪に問われることとなった。いつでも真実を追求し、正義を貫くことを信条としている右京のぶれない行動が随所に光っていた。

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