『さよならマエストロ』がホームドラマの新しい扉を開く 西島秀俊×芦田愛菜の共演に期待
本作は市民オーケストラ「晴見フィルハーモニー」を舞台にした群像劇でもある。多彩な音色が重なって生まれるシンフォニーはにぎやかで、それ自体一つの命を持った生き物のようだ。一癖も二癖もある楽団員を演じるのは宮沢氷魚や新木優子をはじめとする各年代選りすぐりの俳優陣。純粋に音楽を愛する一方でそれぞれが悩みや問題を抱えており、晴見フィルの存続をめぐってドラマが繰り広げられる。
また視覚だけではなく、聴覚で楽しめるのが本作の特色だ。『さよならマエストロ』にはオーケストラの練習風景や演奏会のシーンが登場する。それらの演奏は日本を代表する指揮者の広上淳一が監修し、東京音楽大学と本作のために編成された交響楽団が手がけており、演奏クオリティと音響の良さは特筆ものだ。耳にぜいたくなドラマであることは回を追うごとに実感できるはずだ。
日曜劇場はホームドラマの名作を生み出してきた。近年は視聴者層を反映して企業や実社会の紛争、事件ものが主流になっているが、従来、家族で楽しめる身近なテーマとしてホームドラマがその役割を担ってきた背景がある。コロナ禍を機に家族のあり方を模索する新しい形の作品が登場している現在、音楽を通して家族の再生を描く『さよならマエストロ』はホームドラマ回帰の流れを決定づけるだろうか。さまざまな点で必見の作品だ。
■放送情報
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
TBS系にて、1月14日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
※初回は25分拡大
出演:西島秀俊、芦田愛菜、宮沢氷魚、新木優子、當真あみ、佐藤緋美、久間田琳加、大西利空、石田ゆり子、淵上泰史、津田寛治、満島真之介、玉山鉄二、西田敏行
脚本:大島里美
音楽:菅野祐悟
撮影監督:神田創
音楽監修:広上淳一(東京音楽大学)
全面協力:東京音楽大学
企画プロデュース:東仲恵吾
プロデュース:益田千愛
演出:坪井敏雄、富田和成、石井康晴
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/sayonaramaestro_tbs/