『さよならマエストロ』がホームドラマの新しい扉を開く 西島秀俊×芦田愛菜の共演に期待

『さよならマエストロ』ホームドラマの新境地

 日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)が1月14日から放送される。このコラムでは一足先に第1話を視聴した筆者が、本作のポイントやドラマの見どころを紹介する。

 家族も音楽も失った天才指揮者の父親と、父を拒絶し音楽を嫌う娘。『さよならマエストロ』の主人公、そしてヒロインを務めるのは、西島秀俊と芦田愛菜だ。西島にとって日曜劇場への出演は2015年の『流星ワゴン』(TBS系)以来9年ぶり、芦田は『南極大陸』(2011年)以来となる。アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』で名実ともに日本を代表する俳優となった西島と、天才子役としてスポットライトを浴び、若い世代のトップランナーをひた走る芦田の共演に胸躍らずにはいられない。

 西島演じる夏目俊平は新進気鋭の指揮者として世界を舞台に活躍していたが、“ある事件”がきっかけで表舞台を去り、家族と別れてオーストリア・ウィーンで暮らしていた。そんなある日、別居中の妻・志帆(石田ゆり子)から連絡が入る。画家である志帆はフランスに行くことになり、日本で子どもたちの面倒を見てほしいというのだ。こうして俊平と娘・響(芦田愛菜)との気まずい同居生活が始まった。

 何よりまず西島と芦田の演技を観てほしい。壊れてしまった家族、長い時間をかけて少しずつでき上がったわだかまりを2人は繊細かつ大胆にほどいでいく。親子だからわかること、親子であるがゆえにわかりあえないこと。それらを台詞と言外の視線や動作で表す演技のやり取りは濃密で、観ていて「ああそうだな」「わかる」と感情移入してしまうのだ。

 西島と芦田がどんな俳優であるかについて、ここで詳細に語るには紙幅が足りないので、一つだけ言うと『流星ワゴン』や『ドライブ・マイ・カー』で顕著だったように、西島は人と人の間の見えない隙間や関係性の変化を演じることができる役者であり、芦田の作品理解力の高さと感情表出の正確さは抜きん出ている。この2人のぶつかり合いはとても見ごたえがある。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる