芦田愛菜が演じる“2軍”の学生役は絶品だ 『最高の教師』は10代キャリアの集大成となる

芦田愛菜、『最高の教師』は集大成となる

 かわいらしい笑顔や涙する切ない表情。芦田愛菜と聞いて、幼い頃に出演したドラマを思い出す人は多いだろう。幼い頃から子役として活躍してきた芦田が、7年ぶりに民放連続ドラマへ出演し、日本テレビ系新土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』で高校3年生の優等生・鵜久森叶役を演じる。

 涙なしには観られない『Mother』(2010年/日本テレビ系)での名演技、『マルモのおきて』(2011年/フジテレビ系)でのかわいらしい表情など、幼い“愛菜ちゃん”の演技はどの作品でも視聴者を楽しませてくれた。その“愛菜ちゃん”が19歳となり俳優としていっそうの活躍を見せている。これからどんな芝居を見せてくれるのか楽しみにしている人も多いだろう。

『最高の教師』芦田愛菜

 近年は映画やスペシャルドラマへの出演が目立ち、学生役を数多く演じてきた。芦田が演じる学生役は、明るいわけでも暗いわけでもない、いわゆるクラスの2軍ポジションの役が多い。1軍女子に対して線を引き、言葉にし難い感情を抱えている役柄だ。芦田が演じることで、内面に隠された感情がヒシヒシと伝わってくる。

『最高の教師』芦田愛菜

 芦田の表情は、見るものの心に強烈に訴えかけてくる。これは、“愛菜ちゃん”のころから変わらない芦田の芝居の魅力だろう。スペシャルドラマ『エンディングカット』(NHK総合)の迫田結役では、母の死に向き合い、葛藤する女子高生を好演。母との別れを拒絶し、子供のように泣く表情、別れを受け入れ、母の最期のときに静かに涙を流す姿など、芦田の涙はどうしてこうも涙を誘うのかと感嘆する。

 映画『星の子』の林ちひろ役では、新興宗教を信仰する両親が、世間からの好奇の目に晒されることで生まれる繊細な感情を表現している。ちひろからは、言葉では説明できない感情が心に渦巻いていることが、まなざしや佇まいから伝わってくる。恋心を寄せていた先生に叱責され、言葉にできない悲しみと恥ずかしさで徐々に瞳を潤ませる演技は本当に見事だった。どちらの作品も芦田の涙する表情が脳裏に焼きつく。芦田の表情が心をグッと掴んで離してくれないのだ。

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