『ブギウギ』水上恒司の“愛くるしさ”の説得力 愛助の行動は現代だったら危うすぎ?

『ブギウギ』水上恒司“愛くるしさ”の説得力

 それなのに、なぜか彼が嫌になりきれないのは、水上恒司の体現する「愛くるしさ」のおかげだろう。彼の作る愛助の表情は、まさしくスズ子が感じるように視聴者の目線でも“そんな人じゃない”と思わせる説得力がある。彼は初っ端から家に呼んでスズ子と私たちを警戒させたと思いきや、ただのレコード&福来スズ子オタクだったことがわかってホッとさせるし、本人の前で彼女のレコードを流すタイプのヤバさにヒヤヒヤさせたと思いきや、冷静に考えれば大阪時代からファンなのに、一切の一度も“村山”の姓を利用しようとしなかったタイプの男性であることに気付かされる。彼の危うさと誠実さの狭間で、踊らされてしまう。

 だから10歳近くも歳下だからと笑い飛ばしていたスズ子が徐々に本当に気を持ち始めてしまう気もわからなくないのだ。愛助という男は、良くも悪くも無自覚に翻弄的だから。ギリギリな造形のキャラクターなのに、そこにいやらしさや、嫌悪感を覚えないのはやはり演者の水上自身の魅力によるものだろう。スズ子もなかなかに型破りで痛快なヒロインだが、そんな彼女の初恋の相手となる愛助も、なかなかの男である。徴兵も始まり、ますます互いの気持ちに拍車がかかりそうないま、2人の恋の行方はこれまで以上に目が離せなくなっていく。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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