『どうする家康』関ヶ原の戦いにおける正義と不義を考える 岡田准一主演『関ヶ原』で予習

『どうする家康』関ヶ原の戦いの正義と不義

 そして、師範・三成は恋にも情熱的だ。配下のくノ一である初芽に恋をする。『どうする家康』で言えば、家康が大鼠(松本まりか)に恋をするようなものだ。それならこの時代の殿様なら側室にしそうなものだが、関係はあくまでプラトニックである。ちなみに、初芽を演じるのは有村架純だ。「信長が瀬名に恋をしている」図式に見えてしまうが、頭を切り替えてほしい。別作品だ。

 当然師範が演じているので、“史上もっとも強そうな石田三成”である。着物でも隠し切れないその僧帽筋や広背筋は、グラップラー(組技系格闘家)のそれである。決して文官の体ではない。得意技は、流鏑馬状態からの“投げ矢”である。手裏剣のように矢を投げる。弓につがえる手間を省いた、合理的な武器である。そしてこの三成はよく走るし、またそれが異常に速い。

 この三成があと3人ほどいれば、関ヶ原も勝っていたのではないか。

 一方、三成が主人公なため、家康はやや狡猾で狭量な人物として描かれている。だが、それも含めてなぜかチャーミングなキャラに見えてしまうところが、役所広司の“俳優力”である。

 11月12日の『どうする家康』を観てから映画『関ヶ原』を観れば、家康、三成、両サイドからの関ヶ原をコンプリートできる。

 勝敗にかかわらず、この戦いは、どちらが「正義」でどちらが「不義」だったのか。その答えが、出るかも知れない。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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