佐藤浩市、吉岡秀隆、ムロツヨシ “白髪”のカッコ良さで魅了する俳優たち

“白髪”のカッコ良さで魅了する俳優たち

 男性の白髪まじりの髪を指すロマンスグレーという言葉を聞かなくなって久しい。一方、白髪まじりの髪色をそのまま活かしたヘアスタイルのことをグレイヘアと呼び、美容関係で特集など組まれるようになった。白髪をロマンスグレーなどと美化するのではなく、逆に黒髪至上主義で染めることにこだわるのでもなく、ありのまま受け止めようという人が実際に増えてきているようにも感じられる。白髪に対する日本人の意識そのものも、ここ数年で大きく変わってきているのではないだろうか。

 現在62歳の佐藤浩市は、まさに白髪染めをしていない、自然なかたちでの芝居が似合う役者として真っ先に浮かぶ存在だ。俳優の場合は衣装やメイクとのバランス、その人の個性が武器となり、似合う髪型によってより魅力的に映るものだが、役柄によって貫禄が出たり、謎めいて見えるのも面白い。

『春に散る』©︎2023映画『春に散る』製作委員会

 NHK大河ドラマには2022年放送の『鎌倉殿の13人』、現在放送中の『どうする家康』と2年連続で出演、2023年に公開された映画には主演した映画『春に散る』(2023年8月25日公開)を含め、9本もの作品に出演している佐藤浩市。そのナチュラルなスタイルを貫いて成功を収めている60代を代表する俳優といっていいだろう。

 現在放送中のドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)にも出演中の佐藤は、すべてが謎の男・真礼を演じている。赤いパーカーに白い上着を羽織り、クリスマスに現れるサンタクロースを連想させるのは服の色合いだけではない。「サンタクロースそのものなのでは?」と思わせるのは、その見事なまでの真っ白なその髪。

 クリスマスイブの1日を1クールかけて描く本作の中で3人の男女の、それぞれ並行して進む物語をつなぐ役割を果たすのが真礼で、愛犬を探しながら舞台となる横浜の街を神出鬼没で徘徊する。真礼の飼っている真っ白な愛犬、ミニチュアブルテリアのフランが家を出て、どこかに行ってしまったのだ。

 記憶喪失の逃亡犯・勝呂寺誠司(二宮和也)、クリスマスディナーの準備ができないシェフの立葵時生(大沢たかお)、報道キャスター倉内桔梗(中谷美紀)の3人は真礼によって、どうつながっていくのか。真礼の愛犬フランは、ちゃんと見つかるのか。果たして殺人事件の犯人は誰なのか……。サンタクロースを思わせる紅白でまとめたカジュアルな装いではあるが、謎だらけで怪しい雰囲気の真礼にはどこか狂気も漂う。

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 また、大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)で佐藤が演じている真田昌幸も、間もなく起きる関ヶ原の戦いでどのような動きを見せるのか注目される。白髪に白い髭で威圧感たっぷりに、主人公の家康(松本潤)に幾度も苦杯をなめさせる。お登場するたびにSNSが沸くほどの圧倒的な曲者感を出している。

 経験を積み、年齢を重ねたからこそ漂う一筋縄ではいかない重厚感を備えた佐藤浩市の演技に白髪も一役買っているのは確かなことだ。

 佐藤浩市が60代を代表する白髪染めをしていない自然なかたちでの芝居が似合う役者だとすると、50代の代表は現在放送中のドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)のダメ夫役が大好評の吉岡秀隆が挙げられる。

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