『パリピ孔明』の“エモい”カバー選曲 「サヨナラCOLOR」で思い出すKABE太人の原点

『パリピ孔明』はカバーの選曲が“エモい”

 アートフェス初参戦となる英子(上白石萌歌)のライブを成功に導いた孔明(向井理)。しかし、その裏には、小林(森山未來)と英子の熱烈なファンという密偵(石野理子)の活躍があった。

「私一人では、天下泰平の世はなし得ない。皆の力が必要なのだ」

 『パリピ孔明』(フジテレビ系)第3話では、それが口癖だったかつての主君・劉備(ディーン・フジオカ)のように、孔明が英子の歌声で天下泰平の世を共に目指す新たな仲間探しに奔走する。

 孔明に背中を押され、超大型音楽フェス「サマーソニア」への出演を宣言した英子。でも、オーガナイザーの近藤(嶋田久作)から提示された、SNSでの10万いいね獲得という出演の条件を達成する自信は全くない。しかも、自分に足りないものは自分で見つけるしかないと孔明に突き放され、絶体絶命のピンチに。だが、それは彼女がアマチュアシンガーから脱却するために必要な試練だった。

 英子の武器は、 良くも悪くもその素直さにある。歴史上の人物の名を語る、いかにも怪しい孔明を無条件に信じてここまでやってきたおかげで、ほぼ無名だった彼女の歌声は多くの人に届いた。一方で、味を占めたのか、孔明の采配に全身全霊を委ねつつあった英子。しかし、今回梯子を外されたことで自分の夢に能動的に取り組み始めた彼女は、ミア(菅原小春)に助言を仰ぐ。昨日の敵は今日の友。嫌がらせを嫌がらせと認識していない英子の純粋さに調子を崩したミアに「本気で食べていく気があるなら、いつまでもカバーを歌っていてはダメ」とアドバイスされ、英子はオリジナル曲の制作に踏み出した。

 孔明に披露したその曲はまだ、ほぼメロディだけの状態。だが、ソニーミュージックの公式YouTubeでは、英子初のオリジナルソング「DREAMER」の完全フルバージョンを聴くことができ、人気音楽ユニット・YOASOBIのメンバーとしても活躍する幾田りらが作詞・作曲を手がけた壮大で温かみのある楽曲の世界観と、上白石の透明感あふれる繊細な歌声による相乗効果を堪能することができる。いずれ劇中でもお披露目されるのを楽しみに待ちたい。

EIKO [ DREAMER ] from フジテレビ系水10ドラマ「パリピ孔明」(作詞作曲:幾田りら)

 一方で、英子が歌うカバー曲の選曲にもセンスが光る本作。これまで披露された「タイム・トラベル」(原田真二)、「真夜中のドア~stay with me」(松原みき)、「堕天」(Creepy Nuts)という年代もジャンルも異なる楽曲とラインナップに並ぶのは、2001年にリリースされた「サヨナラCOLOR」(SUPER BUTTER DOG)だ。シンプルなコード進行ながら心の琴線に触れるこの名曲は過去にもたくさんのアーティストにカバーされてきた。歌う人によってまた印象が変わり、上白石は「BBラウンジ」に集まった観客一人ひとりに〈その思いを僕に見せて〉というフレーズを訴えかけるかのごとくエモーショナルに歌い上げる。

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