岡本信彦が語る、『グッド・ドクター 』ショーン役への思い ドラマとアニメの演技の違いも
実写は「内に向かって入っていくようなイメージ」
――ちなみに、アニメ作品と実写ドラマ作品では、演じ方が違ったりするのですか?
岡本:最高到達点は多分同じだと思うんですけど、僕の中では入り口がちょっと違うような気がしています。アニメのほうがのりしろの部分が大きいというか、何かキャラクターがいたとしたら、それに声優さんがどんどん色をつけていく感じがあるんです。その一方で、実写の吹き替えは、もともと実際に演じている役者さんがいるので、その役者さんが、声はもちろん表情とかも全部作っていて、すでに仕上がっているんですよね。それをどう日本風にアレンジしていくか。つまり、そのキャラクターに何かを足していくというよりも、そこから何を取り出していくのか、という感じです。アニメが外に向かっていくような感じだとしたら、実写のほうは内に向かって入っていくようなイメージがあります。あと、しゃべり方自体、やっぱり実写の場合は、アニメよりもナチュラルな感じに寄っていくことが多くて。今回のショーンは、また少し違うんですけど(笑)。
――確かに(笑)。本作の場合は、岡本さんならではのショーンが、完全にできあがっているようなところもありますよね。
岡本:そうですね。今となってはもう、自分の中で完全に確立させちゃっているようなところがあるかもしれないです。実はそういう風にしていかないと、拍が合わないことも多くて。そこは、英語と日本語の違いというか、フレディ・ハイモアがやっているショーンのしゃべり方は、アクセントと言葉の区切りみたいなものを、全部無視するというしゃべり方なんです。全体的に語尾が上がっていて、言葉の切りどころがないっていう。最初は僕もそういう感じでやろうと思ったんですけど、実際それを日本語でやってみたら、違和感しかなかったんです。ちょっと面白くなってしまうというか。で、少し違うかもと演出の高橋さんとも相談して、今のしゃべり方の方向性になりました。あと、本来は早口でペラペラ話しているようなシーンでも、日本語でそれをやるとすごく聞き取りにくくなるんです。日本語の場合は、言葉をちゃんと立たせないと、会話が成立しないところがあります。なので、そういう英語のニュアンスをどう拾いながら日本語に変えていくかというのは、いまだに毎話毎話、僕の中では課題です。
――シーズン6の中で、遂に100話を迎えることになりますが、本作がここまで長く続いた理由については、どんなふうに捉えていますか?
岡本:さっきの話じゃないですけど、やっぱり「名医」というものは、いまだにずっと求められているところがあると思うんです(笑)。それは、僕自身もそうですし。やっぱりまずは、脚本が素晴らしいっていうのはありますね。最初に言ったように、人の生死に関わる話が多いので、毎回毎回、すごくドラマチックなんです。大体、血だらけの患者が病院に運び込まれるところからドラマが始まり、この人に何が起きたのか、どんな怪我なのか、この人の人間関係はどうなっているのか……というのが、徐々に明らかになっていく。そして、いつも大体2つの流れを作っているところが、すごく上手いなと思うんです。
――というと?
岡本:ショーンに直接関係した話と、それとは違う話が同時に進行するというか、何かしら2軸で動いているところがあって。ショーンのプライベートな話と、実際の医療現場で起こっていることが同時に進行して、それがどこかで絡まり合うという。そこが毎回毎回、観る人を飽きさせないところなんだと思います。
――なるほど。あと、これはアメリカ版の特徴のひとつだと思うのですが、多様な人種や宗教、あるいはセクシュアリティの人が登場することをはじめ、いわゆる「ソーシャルイシュー」と呼ばれるような問題も、このドラマでは積極的に扱っています。
岡本:そういったものは、全部入っていますね。それこそ、新型コロナウイルスの話もシーズン4に入っていますし、今、アメリカで問題になっているような社会問題は、ほとんど全部盛り込まれている。そういう意味で、メッセージ性がすごく色濃いドラマだと思っています。そのあたりも、長く支持されている理由のひとつかもしれないですね。
――そして、いよいよ日本でも、シーズン6の放送がスタートしますがが、見どころを聞かせていただけますか?
岡本:シーズン5の最後が結構大変な終わり方だったというか、これは予告編などにも出ているから言っても大丈夫だと思うのですが、暴漢に刺されてしまったリム先生(クリスティーナ・チャン/相沢恵子)が、一命はとりとめたんですけど、足が動かなくなってしまったところからスタートして。そこの確執が描かれています。ショーンは、良かれと思って、そういう処置をしたんだけど、リム先生は同じ医者だからこそ、そうじゃないやり方もあったんじゃないかと思っていて……。その確執がどうなるのかというのは見どころですね。僕的にいちばん大きいのは、シーズン1に出ていたジャレッド(チュク・モデュー/矢野正明)が帰ってくることですね。久しぶりに一緒に働くようになったショーンとジャレッドが、お互いの変化や成長を、どのように感じるのか。あと、ショーンのプライベートでも結婚生活でいろいろと起こるので、楽しみにしてもらいたいです。シーズン6からは、『グッド・ロイヤー』との絡みがどうなっていくのかも気になります。
――本作のスピンオフ『グッド・ロイヤー』というシリーズですね。ちなみに、アニメ作品などで岡本さんのことを知っている方々には、本作をどんなふうにおすすめしますか?
岡本:僕がアニメ作品でよくやっているようなバトルシーンは、このドラマにはないですが、きっと感動していただけると思っています。心が洗われるような作品でもあるし、どこか救いになるような話でもあって。僕が普段出ているようなアニメ作品とはまた違った感覚を、このドラマでは味わってもらえるんじゃないかと思います。僕が演じているショーンという役どころも、なかなかないようなキャラクターというか、今後アニメ作品とかでもほとんど出てこないようなキャラクターだと思うので、是非観てもらえたら嬉しいなって思います。
――シーズン6とはいえ、基本的には1話完結の物語なので、観やすいですよね。
岡本:そうですね。どこからでも入れるというか、さっきも言ったように、大体誰かが病院に運び込まれてくるところから毎回スタートするので(笑)。でも、やっぱり1話完結っていうのは結構大きいと思います。どこから入っても楽めるし、1話だけで感動したり泣けたりするので。そこがこのドラマの本当にすごいところだし、よくできているなって思うところなんです。
■放送・配信情報
『グッド・ドクター6 名医の条件』
WOWOWプライムにて放送、WOWOWオンデマンドにて配信
【字幕版】10月25日(水)スタート 毎週水曜23:00〜(※第1話無料放送)
【吹替版】10月26日(木)スタート 毎週木曜22:00〜
出演:フレディ・ハイモア(岡本信彦)、リチャード・シフ(岩崎ひろし)、ヒル・ハーパー(丸山壮史)、クリスティーナ・チャン(相沢恵子)、フィオナ・グーベルマン(池澤春菜)、ウィル・ユン・リー(菊池康弘)、ペイジ・スパラ(保澄しのぶ)、ブリア・サモーネ・ヘンダーソン(米倉希代子)、ノア・ガルヴィン(越後屋コースケ)
製作総指揮:デイヴィッド・ショア、ダニエル・デイ・キム
© 2023 Sony Pictures Television Inc. and Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
放送情報:https://www.wowow.co.jp/detail/188610
配信ページ:https://wod.wowow.co.jp/program/188610
※配信ページは10月25日(水)23:50より有効
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