松山ケンイチ、初の朝ドラでも“クセモノ”を演じるか 『虎に翼』までのキャリアをたどる

松山ケンイチ、初の朝ドラで“クセモノ”に?

 とはいえ、俳優としてのキャリア20数年のうちに松山が演じてきたクセモノは1人や2人の話ではない。やはりその最たるものが映画『デスノート』シリーズで演じた“L/竜崎”。世界一の名探偵という役どころであり、自身のリズムやトーンを優先させる独特な話法や挙動など、かなりインパクトの強いキャラクターだった。それでいて松山のすごいところは、この役のイメージに囚われていないところだ。ここまで印象的な役を演じるとそのイメージが広く浸透してなかなか拭えないものだが、彼は軽快に払拭してみせた。

 『デスノート』シリーズが始まる前年に、その年の邦画興行収入1位を獲得した『男たちの大和/YAMATO』(2005年)で主役級の人物を演じていたことも大きいだろうし、2008年には『デトロイト・メタル・シティ』でカリスマ的な人気を誇るデスメタルバンドのフロントマンを演じ、2010年には村上春樹の代表作を実写化した『ノルウェイの森』で主人公の青年を。続く2011年には大人気マンガを原作とした『GANTZ』シリーズで物語の中心人物に、2016年公開の『聖の青春』では驚異的な肉体改造で自身の役に肉薄してみせた。筆者個人としては、2023年に公開された『ロストケア』での悲しみを溜め込み“連続殺人犯”にならざるを得なかった青年役が、これからも忘れられないものになる気がしている。

 さて、ここまでの多彩で華々しいキャリアを重ねてきた松山だが、繰り返すように朝ドラへの参加は『虎に翼』が初めて。公式のコメントには「僕は15年前から朝ドラに出演する事を目標に俳優活動を続けてきました」とある。俳優としての一つの到達点。またここで彼の代表的なキャラクターが増えそうである。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
NHK総合にて、2024年春放送
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、上川周作、森田望智、仲野太賀、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、戸塚純貴、岩田剛典、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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