『こっち向いてよ向井くん』はキャラクター造形が見事 “リアルさ”が生む物語への求心力

『こっち向いてよ向井くん』見事なキャラ造形

武田麻美(藤原さくら)

藤原さくら

 メインキャラクターとして、取り上げておきたい向井くんの妹・麻美。元気(岡山天音)と結婚し、家が決まるまでの間、向井くんの実家で共に暮らしている。感情を表に出さず、クールな彼女。世間から押し付けられる夫と妻の役割に辟易とし、元気に対して結婚をやめたいと申し出る。壁ドンしながら放った「わたしは結婚なんてしなくてもいつだって元気を幸せにしたいよ」というセリフには麻美の愛情が詰まっていた。

 演じているのは、甘めの顔にツンデレ発言がよく似合う藤原さくら。クールな表情と淡々とした喋り口は、女性キャラクターたちの中でいいスパイスとなっている。第5話では、自身の言葉の足りなさを反省して、元気と向き合うもさらにすれ違ってしまった。麻美の不器用な愛情は元気に伝わるのだろうか。

武田元気(岡山天音)

岡山天音

 男性キャラクターも忘れずに取り上げておきたい。向井くんの義弟・元気は、向井くんや、洸稀が集まるカレー屋を経営している。向井くんに対して、第1話では中谷さんとの恋のアシスト、第2話ではアンちゃんは危ないと助言。柔らかく人懐っこい雰囲気で視聴者を癒しつつ、向井くんの恋を見守っている。第3話以降は、麻美が主張する婚姻関係によるノイズが理解できず、さらに第5話ではカレー屋を手伝ってくれる芽衣ちゃん(穂志もえか)の危うさにも気付けないことから、麻美と溝が生まれてしまう。おちゃめで優しい雰囲気を持つ少し鈍感な男性だ。

 岡山天音は『日曜の夜ぐらいは...』(ABCテレビ・テレビ朝日系)のみねくん役も記憶に新しい。みねくんとはまた違う親しみやすさを見せ、天真爛漫に向井くんと関わっている。岡山天音だからできるナチュラルでやわらかな芝居だ。

 メインキャラクターはもちろん、各話に登場するゲストキャラクターも魅力的な『こっち向いてよ向井くん』。かわいらしさやコミカルさ、そして恋愛や結婚に悩む姿を表現する演技には、毎話驚かされる。『こっち向いてよ向井くん』は30代男女に向けた恋愛指南書としても、若手俳優の魅力的な演技に出会うドラマとしても楽しめるだろう。

■放送情報
『こっち向いてよ向井くん』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:赤楚衛二、生田絵梨花、岡山天音、藤原さくら、財前直見、森脇健児、内藤秀一郎、上地春奈、岩井拳士朗、若林時英、田辺桃子、久間田琳加、市原隼人、波瑠
原作:ねむようこ『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社フィールコミックス)
脚本:渡邉真子
演出:草野翔吾、茂山佳則ほか
音楽:FUKUSHIGE MARI
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:鈴木将大、柳内久仁子、妙円園洋輝
協力プロデューサー:福井芽衣
制作協力:AX-ON、ダブ
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
©︎ねむようこ/祥伝社フィールコミックス
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/mukaikun/
公式X(旧Twitter):@mukaikun_ntv
公式Instagram:@mukaikun_ntv

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