『こっち向いてよ向井くん』が描く“元カレ・元カノ問題” 赤楚衛二と生田絵梨花の芝居の応酬
ついに元カノ・美和子(生田絵梨花)と再会した向井くん(赤楚衛二)。『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)の第5話は、別れて10年経った後の元カレ・元カノ問題を鋭く描く。誰もが一度は誰かの立場に共感してハッとしてしまうところが魅力の本作に美和子が登場し、新たな視点がまた一つ追加された。
かつてのサークルの飲み会で美和子と再会し、すっかり舞い上がってしまった向井くん。もう一度美和子と会いたそうにする向井くんに対して、洸稀(波瑠)は制止していた。だが向井くんはひょんなことをきっかけに美和子と会うどころか、そのまま家に上がり込んで互いが好きなアーティストのBlu-rayを観ることに。そこで一線を越えた2人は、なんとなくの関係を続けるようになっていた。だが、目の前の美和子は10年前とは確実に変わっている。向井くんの知らないところがたくさん増え、向井くんはどこか寂しさも感じていた。
今回は、向井くんや美和子が抱く「元カレ・元カノへのノスタルジー」に共感する人もいれば、洸稀の言う「元カレ・元カノ他人説」に共感した人もいただろう。別れた恋人に対して抱く想いは人によって大きく異なる。それが元恋人の2人の間で食い違っていたとしたら、向井くんの想いが美和子に通じなかった可能性だってあっただろう。しかし美和子は、イヤホンを渡した後に振り向いた向井くんに対して「こっち向いた」と漏らす。ここに、美和子の心にある“期待”が表れていたように感じた。
それからの2人はすぐに意気投合。過去に積み上げてきた居心地の良さを思い出し、キスだってすぐに受け入れられる。これまでの回想シーンではあどけなさの残る姿を見せていた美和子だけに、再会後の洗練された印象や、部屋では“ふわふわジェラピケ美和子”じゃなくなっていたこと、主任になって後輩を指導する様子などを細かい仕草や表情で演じ分ける生田絵梨花が輝いていた。生田と赤楚の芝居の応酬は2人の間に「10年」という月日が流れたことを物語る。再会後初めてのキスではぎこちなくメガネをとっていたのに、頻繁に向井くんが家に来るようになってからはメガネをしたままキスを受け入れている美和子の様子からも、2人の距離が急速に縮まったことが感じられる。これまでのアン(久間田琳加)やチカ(藤間爽子)とのことはいったいなんだったのだろうというかのごとく、スムーズで自然体な美和子との仲が印象的だった。