S5も名言のオンパレード 『ザ・ジレンマ』は恋愛リアリティ番組に興味がない人にオススメ
さらに本編が始まると、男からも女からも名言が次々と飛び出す。ある男性は、普段はベッドに直行してばかりなせいか、晩ご飯デートを用意されると会話に困って「この木、登れそうだな」と謎の発言で我々の度肝を抜く。そして中盤で、あるカップルが番組定番の究極の試練こと「エロいグッズがたくさんあるスイートルームに招待され、何もせずに寝れるか?」というテストを受ける。このとき、残されたメンバーは、スイートの2人が禁欲できるか賭けるのだが……。全員、ある程度は仲良くなっていて、その中にはスイート行きの女性と友人になっている者もいる。当然、ここは信頼するのかと思いきや……「あの子の性欲は桁外れだ」「彼女は友達だけど、性欲が強すぎる」と、日常会話では聞かない証言が連発。さらに本人もスイートルーム内でバナナを一気に根本まで飲み込んで、ド直球に男を誘惑するのであった。一方で賞金を守ろうと、ルール違反を防ぐべく奔走する男性も。「オレには兄弟が10人いるんだ! 賞金で人生を変えられる!」と切実な理由でメンバーの性行為を取り締まる姿は、これはこれで面白い。
全編こんな調子で、ちゃんと恋愛はしているが、下の話は常に忘れず、ラブとエロのシーソーゲームが繰り広げられる。他にも巨乳の新メンバーが加入した際に、とある男性がイイ感じの関係の女性がいるにもかかわらず、その女性を裏切って新メンバーの巨乳の胸を触ったor触っていないのサスペンスで引っ張るなど、心底どうもでいいが続きが気になる絶妙なツボをついてくる。我々日本人が忘れつつある平成バラエティのノリだ。
今回のシーズン5も『ザ・ジレンマ』に求められているものは全く変わっていない。しかし一方で、ルール運用は抜群に上手くなっている。シーズン1にあった「とりあえず性欲の強い連中を集めてみたけれど、他に何も考えていませんでした」感はまったくない。適度にメンバーの人間関係に揺さぶりをかけ、「ゲーム」としての面白さは格段に磨かれている。そしてメンバー間の心のケアについても、かなり目標(着地点と言うべきか)が明確になっていた。自分の中にあるコンプレックスと向き合うこと、そのうえで、自分の心を開き、他者と誠実に接すること。こういった点を美徳として、肉体関係ばかりに徹してきた男女が心を開くように誘導するのは、少し感動的なドラマを生む。ワンアイデアに慢心せずに、しっかりクオリティを高めていく姿勢は、さすがNetflixである。もっとも番組内でくっついたカップルが、番組終了後に即別れたりもするのだが、それについて当局は一切関知しない。
そんなわけで、「普段はどうにも恋愛リアリティ番組にノりきれない」……そんなアナタにこそ、『ザ・ジレンマ』をオススメしたい。非常に力強い下ネタ乱舞には爆笑できるし、真面目な恋愛部分では自分のことを顧みることもできる。今からシーズン6が待ちきれない。Netflixオリジナル映画の傑作『タイラー・レイク-命の奪還-』と同じで、永遠に続いてほしいシリーズである。
■配信情報
『ザ・ジレンマ:もうガマンできない?!』シーズン5
Netflixにて配信中