往年の地上波深夜番組のようなノリにハマる!? 『ザ・ジレンマ』S2は問答無用の面白さ

『ザ・ジレンマ』S2は問答無用の面白さ

 『あいのり』『テラスハウス』といった番組に慣れた我々日本人の頬を、熱々のステーキ肉で殴りつけてくるような恋愛リアリテーショー。それこそが『ザ・ジレンマ:もうガマンできない?!』である。世界中から集まった容姿端麗かつ性欲ガツガツの男女が、南の島で共同生活をしながらカップル成立を目指す。そして3週間の恋愛生活の中で、一番輝いた人には10万ドルの賞金が与えられる。ここまでなら普通だが、そこは「Yes」と言える国アメリカ。思い切ったルールが用意されている。この南の島では一切の性行為が禁止。セックスやキスは無論、自慰行為も禁止である。そしてルールを破ったら、賞金がドカンと減ってしまう。

 『ザ・ジレンマ』待望のシーズン2である。正直シーズン1は「世界中のセクシーな人たちを集めて、禁欲させたら面白いんじゃない?」という思いつきで押し切った感のある企画だった。そもそものルールが曖昧なうえに、撮れ高が悪かったのか、途中で闇雲に何人も追加メンバーが投入され、美しい風景映像の尺が長かった。しかし、こうした難点はありつつも、今までの人生でヤリにヤってきた美男美女たちが、禁欲を強いられた途端に、それまでのキラキラが嘘のような真顔になるさまは問答無用で面白かった。人は禁欲を強いられるだけで、こんなに目が死んでいくのかと驚いたものだ。「これ、すごいポテンシャルがあるんじゃないかな」と思っていたら、案の定、前回の詰めが甘かった部分をアップグレードして帰ってきた。そんなわけでシーズン2は、誰にでも(※18歳以上)オススメできるリアリティーショーに仕上がっている。

 今回は「禁欲すること」「カップルを成立させること」「一番、頑張ったと思われる人が賞金を総取り」などなど、遅まきながらルールが整備/明言された。参加者の個性も強まり、フットボール選手にTikToker、さらには脱オタ系や弁護士に男性ストリッパーなど、撮れ高のよさそうなメンツが集結。彼ら彼女らは、期待を裏切らない名言を連発しまくる。とりわけ第1話は金言の宝庫だ。とにかくモテて仕方がない人々が自信満々に自らの魅力と性欲の強さを語るわけで、男女両サイドから日常生活では絶対に聞かない金言が頻出する。正直、この1話だけでも観る価値があると言っていい。「アメリカに住むイギリス人は無敵さ。“ハリポタ”と言えば女はイチコロ」「男は探さない。神が落としてくれるの」「(好みのタイプは?)息をしていればいい」「寝ながらヤる」……私はゲームのシナリオも書くが、美男美女のモテ台詞として、こうしたフレーズは思いつかない。想像力の敗北を感じた。

 そして禁欲生活が始まると、これまた男も女も奇行を連発。禁欲3日目くらいで出さな過ぎて性器が痛いと男が訴え始め、仲間たちも「こっそり自慰行為をするために、紳士協定を結ぼう」と謎の提案をする(もちろん速攻でバレて罰金をくらう)。さらに「禁止されると、余計にやりたくなるんだよ」理論でルールを破るメンバーが続出し、そのたびに美男美女たちが真顔になるシーズン1からのお家芸も炸裂。「お前なんつー顔してんだよ」とテレビにツッコミたくなること必至だ。他にも「手コキしたのか? してないのか?」といった、はたからすれば心底どうでもいい話題でイイ大人が言い争う姿は、不思議な滑稽さがある。常に先進的なコンテンツを発表するNetflixだが、この番組に限ってはなぜか平成バラエティの香りが宿っているのだ。フランス出身のセクシーガイが登場する時、ナレーターが「エッフェル塔がやってきた」的なコメントを放つなど、いちいち平成っぽいのである。

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