『ばらかもん』一期一会の緊張感が楽しさを生む 『大豆田とわ子』に続く豊嶋花の好演も

『ばらかもん』一期一会の緊張感が生む楽しさ

 美和役の豊嶋といえば『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)で3度の離婚歴がある主人公・とわ子(松たか子)の娘役を好演していたのが思い出される。子どもらしからぬ達観ぶりや妙な物分かりのよさが光る役どころだったが、本作でもまたキャラの濃い父親を持つ冷静な娘役が本当によくハマっている。

 巌からお礼にもらった大量の干物を、島中の人たちに“お裾分け”に回る清舟の元には農産物や漬物が次々と手渡され、まさにわらしべ長者状態。これは五島に来てから、知らず知らずのうちに島民から多くのことを教えてもらい、精神的な豊さを手にしていった清舟の姿と重なった。育江(田中みな実)も口にしていた通り、清舟がもうよそ者やお客様なんかではなく、すっかりそこに住う人として島に馴染んでいることの何よりの証でもあるだろう。

 崖から足を滑らせ遭難しそうになった時にも、美和の落とし物である合鍵を見つけると、それが自分の家の裏山だと気づいて不安が一気に吹き飛び、そんな自分を笑い飛ばせるだけのタフさが身に付いている。自然に身を委ね大の字で寝転んだ清舟の頭上には一面の星空が広がっていた。確かに東京にいるとなかなか夜空を見上げることなどないが、降り注ぐような星たちが、そしてその星の瞬きに気づくまでのこの一日の出来事全てが清舟の創作意欲を大きく刺激した。

 マネージャーの川藤(中尾明慶)に「好きなように書いて出来上がったのが俺の字。俺の魂だからな」と話していた清舟が、ついに自分の今ある全てをぶつけた書が完成したようだ。

ばらかもん

 奇しくも島民への“お裾分け”を終えた直後となったが、誰にもさようならを告げずに島を去った清舟。ひとまわり以上大きくなった清舟は東京で待つ現実に立ち向かえるのか。空っぽになった“基地”の異変に真っ先に気づいたのがなるというのがまた切ないが、彼らの再会はあるのだろうか。

■放送情報
『ばらかもん』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:杉野遥亮、宮崎莉里沙、田中みな実、綱啓永、豊嶋花、近藤華、山口香緖里、飯尾和樹、田中泯、荒木飛羽、中尾明慶、遠藤憲一
原作:ヨシノサツキ『ばらかもん』(ガンガンコミックスONLINE/スクウェア・エニックス刊)
脚本:阿相クミコ、金沢達也
主題歌:Perfume「Moon」(Polydor Records)
企画:上原寿一
プロデュース:髙丸雅隆、高橋眞智子
演出:河野圭太、植田泰史、木下高男、北坊信一
制作協力:共同テレビジョン
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/barakamon
公式Twitter:@barakamon_drama
公式Instagram:@barakamon_drama
公式TikTok:@barakamon_drama

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