『らんまん』浜辺美波は朝ドラ屈指の画期的な妻に 万太郎と“対等”な寿恵子の冒険心

浜辺美波は朝ドラ屈指の画期的な妻に

 寿恵子は、家族の安定も守りつつ、自分たちの冒険心も育てていきたいと考える。ひじょうに理想的な生き方である。誰かに尽くすということではなく、自分がやりたいことをやる、という生き方。

 寿恵子を演じる浜辺美波は、庵野秀明監督作『シン・仮面ライダー』でも、男性ヒーローに守られるだけのヒロインではない役を演じていた。彼女が演じたルリ子は、仮面ライダー(池松壮亮)を作り出した博士(塚本晋也)の娘で、博士は自身が死ぬ直前に、仮面ライダーに娘を託す。ルリ子は、自分の理想のヒーロー像をライダーに期待し、赤いマフラーを巻く。ある種、自分の手でヒーロー(仮面ライダー)を作りあげたのみならず、事前に用意周到に計算し、様々な作戦を立て、ヒーローを動かす。女性はか弱く、悪者にすぐにさらわれ、ヒーローに助けてもらう、という役割が多かった昔のヒーローものとはすこし違う。女の子だって一緒に戦いたい。テレビを見ながらそう思った女子は少なくないだろう。だからヒーローものの紅一点ピンクは憧れだったし、まして独立して戦う女性キャラは至高だった。アニメでは戦う女性集団ものーーセーラームーンやプリキュアが圧倒的な支持をされる。

 話を戻そう。『シン・仮面ライダー』の浜辺美波演じるルリ子は、だが、残念ながら、途中で退場し、やっぱり男の世界になってしまう(とはいえ希望は残してあるのだが)。そこが、ヒーローものの限界なのか……と思ったときに『らんまん』である。

 『らんまん』では、浜辺演じる寿恵子と、万太郎はいまのところ対等である。万太郎は寿恵子を愛しているが、守ろうとしている感じではない(というか、自分の研究に夢中)、寿恵子も守られることを欲してはいない。一緒に、見たことのない世界を見に行こうとしている。そんなとき、週の終わり、第75話では、どうやら寿恵子が妊娠する。子供ができることは喜びでもあるだろうが、家族が増えたらますます家計が圧迫する。万太郎はいくら家で仕事ができるとはいえ、はたして育児をやるだろうか。植物を教えることは積極的にやりそうではあるが。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる