『らんまん』今野浩喜や『カムカム』おいでやす小田も 朝ドラは芸人の“才能”を発掘する

『らんまん』『カムカム』朝ドラ×芸人の相性

 夕飯時や家事で何かとバタバタしてしまうゴールデン・プライム帯のドラマはあまり観られなくても、朝のちょっと落ち着いた時間に朝ドラを観ている人は意外と多いのではないだろうか。あまり俳優のことは知らないはずなのに、朝ドラには「あれ、この人どこかで見たことあるぞ」という人が出てくることがある。現在放送中の『らんまん』(NHK総合)で言えば、万太郎(神木隆之介)が出入りする植物学教室の大窪昭三郎がその人だ。大窪を演じる今野浩喜はお笑い芸人であり、「そこに愛はあるんか?」という印象的なセリフで有名なCMシリーズにも出演している。

クールポコ 小野まじめ、『らんまん』出演のオファーに「『なぁにー!!』と言いました!」

毎週月曜日から金曜日に放送されているNHK連続テレビ小説『らんまん』(土曜日は1週間の振り返り)。第36話から登場した小野まじめ…

 実は朝ドラには芸人が出演することが多々ある。『らんまん』では、東京大学の用務員・脇田として「なぁに〜! やっちまったな!」の掛け声でお馴染みのお笑いコンビ・クールポコ。の小野まじめが出演。朝早く大学に着いたため大学が閉まっており困っていた万太郎が、脇田に研究室の扉を開けてもらうという1シーンの出演だったが、脇田の「明日からは早めに鍵を開けますね」というセリフに万太郎が「なぁに〜! 開けてくださるんですか! ありがとうございます」と返したことから、小野に気がついた人もいたようだ。『らんまん』の公式Twitterでも小野と神木の様子を紹介している。

 他にも『舞いあがれ!』(2022年度後期)には古書店「デラシネ」の店主・八木としてお笑い芸人で小説家でもある又吉直樹が出演。舞(福原遥)の幼なじみで夫となる貴司(赤楚衛二)の両親を演じた山口智充とくわばたりえはどちらもお笑い芸人である。また、『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)ではるい(深津絵里)やひなた(川栄李奈)が住む京都のあかね通り商店街で酒屋を営むおじさん・森岡新平としておいでやす小田が出演。大月家をいつも気にかける、気のいいおじさんである森岡は、昭和の商店街にいかにもいそうな人物で、周りの雰囲気にとても馴染んでいた。

 どうしてこんなにも芸人が近年の朝ドラに出演するのだろうか。その理由のひとつは、ドラマに親しみやすさをプラスするためではないだろうか。朝ドラの主人公は若手の俳優が多く、視聴者の中には知らない人がたくさん出ていると感じる人もいるだろう。その中で、1人でも「この人、知ってる!」と思える人がいるだけで、ドラマに入り込みやすくなる。さらに、先に挙げたクールポコ。の小野と神木のやりとりのように、ネタを知っていれば、クスッと笑える場面も増える。主人公の生涯を深く描き、時には暗くなってしまいがちな朝ドラに芸人が出演することは、ちょっとした笑いをもたらすことに繋がり、視聴者がふっと力を抜く瞬間になるのかもしれない。

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